NIMRA 2016年の研究会

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2016年総会

日 時:1月28日(木)19:00〜21:00
場 所:リビエール(栄)
内 容:
 2015年決算、2016年役員人事、2016年事業計画について審議し承認を得た。
 会長:鈴木 信好

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2016年2月例会

日 時:2月18日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師:川原 啓嗣 氏 (一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会 専務理事)
テーマ:「国際ユニヴァーサルデザイン会議 2016」
案 内

 ユニヴァーサルデザインについてはかねてよりその重要性が唱えられてきて、近年ようやく理解者も増えつつあります。ユニヴァーサルデザインとは、民族、文化、慣習、国籍、性別、年齢、能力の違いにかかわらず、できる限り多くの人々に利用可能なように最初から意図して、機器、建築、身の回りの生活環境などをデザインすることです。「すべての人にとって快適で暮らしやすい社会」を目指して、デザイナーだけでなく行政や企業はもとより、まず市民の考え方と理解が重要です。

 講師は、インダストリアルデザイナーとしてさまざまな活動を展開してこられた中で、ユニヴァーサルデザインに深く関わり、一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会の専務理事として活躍されています。その国際会議の第6回が今年11月に名古屋で開かれます。今回の会議では、「ユニヴァーサルデザインによる共有価値の創造(案)」とのテーマを掲げ、製造業の集積地帯である中部圏域における新たな産業クラスターの創造に向け、国内外の参加者の活発な意見交換と相互交流を通して、自発的かつ持続的な行動を促しながら、地域再生や観光産業の育成も視野に入れた、より質の高いUD社会の実現をめざします。

 名古屋地方も今後は観光産業やサーヴィス産業をも発展していく地域とのイメージを打ち立てていく機会でもあります。名古屋は外国人や障害者にとっても、快適で暮らしやすい街だと思っていただけるよう、作り変えるべきところは変え、改善すべき仕組みは改善していく、それを積極的に推進させ始める年として有益なお話をいただきます。

例会報告

 ユニヴァーサルデザインは「なるべくすべての人が快適に暮らせるようにデザインしよう」と、ロナルド・メイスが1985年に提唱して以来、世界各国で支持され、展開されてきた考え方です。

 ユニヴァーサルデザインに関心を持ってきたものの、なかなか具体的な内容や活動状況を知る機会を持てませんでしたが、この度、日本を代表する川原啓嗣氏により、その経緯や各国の事例を理論説明と画像による具体的な例によって紹介いただきました。

 また、今年、名古屋で「第6回国際ユニヴァーサルデザイン会議」が開かれることが決まり、この地域でもその機運を高め、この地域で暮らす人々はもちろん、名古屋を訪れる人々にもその快適さをアピールする機会を得ました。そのためにはデザイナーだけでなく、行政も市民個々もその意識を共有することが大切です。

 ユニヴァーサルデザインは「普遍的なデザイン」と翻訳されるように、デザインの本来の方向です。長い間、デザインは産業との結びつきから利益につながることを要求されてきました。故に多くの人々が求めるデザインとなります。ユニヴァーサルデザインは多くの人々ではなく、あらゆる人を対象にしますから、利益を求めるビジネスとしてはやや困難です。つまり、機能を満たす時代から美しさを求める時代、そしてようやくすべての人に快適さを提供する時代に来たのですが、それは産業ではなく文化であることを理解しなくては実現も展開も困難です。最初からユニヴァーサルデザインを考慮すれば改修工事などの余計なコストは発生せず、結果的に安く仕上がります。そして、そこから名古屋の文化も高まり、名古屋を訪れて良かったという評価が得られれば観光などに結びつき、産業的なメリットにも繋がるでしょう。またそれによって地域のプライドも生まれ、活性化にもつながります。

今年を名古屋のユニヴァーサルデザイン推進の年としようではありませんか!
(文責:MK)

資料
「第6回 国際ユニヴァーサルデザイン会議2016」基本計画案1
「第6回 国際ユニヴァーサルデザイン会議2016」基本計画案2

関連サイト
一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会
第6回国際ユニヴァーサルデザイン会議2016プレイヴェント

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2016年3月例会

日 時:3月24日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師:加藤 俊博 氏 (サイエンス ボランティア)
テーマ:「アパートデザイン」
内 容:

 今回はNIMRA例会に時々一般参加されているサイエンスボランティアの加藤俊博氏に講師をお願いし、独自に培ってきた数理パズル研究を活かして自宅敷地内に建築し二年前に完成したアパートについてお話し頂きました。講演は、携帯デザリングを使って加藤さんのFacebook上の画像をプロジェクター投写しながら、プレゼンテーションして頂きました。

 加藤さんは7年前に亡くなられた父親から相続した愛西市の土地の有効利用として、魅力的な木造アパートを建てようと思い立ち、大手ハウスメーカーなどにプランニングを依頼したところ、亡くなった父親がこよなく愛した枝垂れえんじゅの古木を移植しなければ効率の良いアパートは建設できないと言われ、しかし古木であるが故に移植には耐えられないだろうと考えて、えんじゅの木を残すプランを地元の工務店と共同で模索したとのこと。

 その結果、えんじゅの古木のために一戸分を減らしてメゾネット形式の木造二階建て五戸を計画。階段下にペット専用スペースを設けたり、隣接戸との戸堺壁に遮音材を入れたり、二階のベランダ部分を狭くすることで四畳半の部屋を無くし六畳二間にしたり、二階にもトイレを設けてシェアハウスに対応可能したり、またバルコニーの開口部分のデザインを菱形にしたりと、色々とこだわった設計にした結果、駅から遠いにもかかわらず常に満室状態。さらに、家賃収入のほかに、屋根に取り付けた太陽光発電により、街路灯に利用する以外は売電により収益を確保しているとのことです。

 講演後の討論では、NIMRA会員の建築家からは、プラン的、デザイン的にはそれほど高い評価が無く、また収支計画の点でもっと検討の余地があったのではという声も出ましたが、クライアントとしては大変満足していると言っておられました。

 また、本題のアパートデザイン以外にも、加藤さんのパズル作品について、ネットでJUNK KATO PUZZLEを検索して、「箱入り娘」や「ハノイの搭」のような難しいものを見せていただきました。(文責:TN)

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2016年4月例会

日 時:4月20日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師:林 清隆 氏 (国際都市政策研究所、NIMRA会員)
テーマ:「まちづくりから見た諸外国の土地制度」

例会案内

 人間の生活において土地問題は最も基本的な課題であり、その多段階にわたる土地の境界、すなわち”縄張り“が利害の起因となり国際間の戦争、紛争を現在も多く発生させている。土地は、国レベルから地域、都市、コミュニティ・レベルへと細分化され、最終的な利用は個人や企業集団等に排他的な形で分配されない限り、順当な市民生活や企業活動等ができない。

 日本にいると、民法では土地所有は絶対的(鉱業権は除く)であり、その上下、すなわち地球の中心から宇宙に向かって広がることになっている。もちろん、公共の福祉という概念で色々な規制がなされている。都市内で代表的なのは、建築基準法で規制される用途、形態、さらには最近着工したリニア鉄道など公共事業の大深度利用(地下40m以下)などが典型とされる。日本の登記制度も、一見、正確なように見えるが、公信力もなく、公図と言われるものも各筆の寸法もなく住宅案内図のような見取り図に過ぎない。

 一方、海外に目を転ずると、都市レベル、個人レベルにおける土地制度は千差万別であるが、大きく分けると; @ 共産圏の国有化された土地  A 英国の植民地で適用されたトーレンス法(Torrens)の流れを汲むもの B ヨーロッパ大陸のローマ法や独自に発展したもの、などに大別できる。

 自然の生命体は遺伝子によって制約され一定の大きさと寿命によって世代交代がなされ、その進化はゆっくりではあるが、その環境に対応していく。都市を生命体になぞらえるならば、その規模は無限で、生命体と同じように繁栄成長、あるいは衰退していく。しかし、都市は永続するためにはその新陳代謝、すなわち都市再開発などが必要となってくる。土地をいかに時代に見合う形に編成していくかが洋の東西を問わず、重要な事柄となってくる。

 公共事業では用地問題が解決すれば、事業の90%が進んだと言われるほど土地問題は重要である。このような視点に立って、中国、ベトナム、モンゴル、タイ、マレーシア、シンガポール、インド、オーストらリア、インドネシア、USA、ヨーロッパ諸国などの事例を紹介しながら実務面で悩む各国のまちづくりの状況を総括的な視点で論議したいと思います。

例会内容

 日本にいると、民法では土地所有は絶対的(鉱業権は除く)であり、その上下、すなわち地球の中心から宇宙に向かって広がることになっている。一方、海外に目を転ずると、都市レベル、個人レベルにおける土地制度は千差万別であるが、大きく分けると; @ 共産圏の国有化された土地  A 英国の植民地で適用されたトーレンス法(Torrens)の流れを汲むもの B ヨーロッパ大陸のローマ法や独自に発展したもの、などに大別できる。

 今回は世界各国における土地制度の概要を個別に説明し、政治体制や社会経済制度の下にどのように土地が位置づけられているかの事例を多数紹介した。ことに、まちづくりにおけるように広域的で、多数の人々の生活を巻き込む場合には多様な取り組み方が必要になってくる。その中でも広く日本で実施されている区画整理事業のように民有開発を含む都市開発事業が世界の関心を集めている事例も紹介した。

 公共事業では用地問題が解決すれば、事業の90%が進んだと言われるほど土地問題は重要である。新興国や開発途上国では、土地問題がネックとなって都市問題が悪化している事例が多い。共産圏のように土地が国有化されている所では、公共事業の展開は容易だが、個々の住民の権利が無視される場合が多い。

 討論の中では、日本の土地問題は、公共事業の場合は、土地収用法等で強権的に収用できるが、個人の土地所有意識が余りにも強いため、都心部荒廃地区の民間同士の共同開発が進みがたいことなど、また、高度成長時代に急速に進んだマンション開発は、土地が多数の共有地のため、今後の立て替えに深刻な問題を宿していることも指摘された。

 何はともあれ、都市の土地を如何に、かつ公平に管理していくかが、これからの日本の都市においても重要な課題といえる。

(文責:KH)

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2016年5月例会

日 時:5月26日(木)19:15〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師:里見りゅうじ 氏 (前厚生労働省 厚生労働審議官)
テーマ:「厚生労働行政について」
内 容:

 例会は、講師が用意されたレジュメ『「労働」という切り口でみた経済・社会・政治』に沿って進んだ。主なテーマは、「外国人労働者の受け入れ」「賃金の引き上げ」「労使関係」であった。以下、要点を抜粋して記す。

 「労働」は、企業活動と個人生活をつなぐ。政治に集団で係わり社会的コンセンサスを形成する。そして社会の熟度を表す。こうした点で面白い分野である。

 「外国人労働者の受け入れ」について、先ず、90年代から受け入れた日系ブラジル人に関する話があった。バブル期の人手不足に対処するために始まったが、リーマンショック後にはリストラ対象となった。30万円の帰国支援金(飛行機代)を受けた者は再入国を認めなかった。在留希望者も日本語習得の必要性に迫られた。その日本語教育費用は、最終的に厚労省管轄となり、税金ではなく雇用保険が充当された。当初大歓迎されたのが最後は冷淡な扱いとなった感がある。

 EPA(経済連携協定)による看護・介護職人材の受け入れは、平成21年から始まった。講師は、21年から23年まで担当とのことであり、臨場感のあるお話があった。フィリピン人やインドネシア人に対し実施された看護師・介護福祉士国家試験は、当初高い日本語能力を求めた為、合格率は3%に留まり、大きな非難を浴びた。その後、問題文にふりがなを付けたり二重否定の文章を止めたりして改善したとのこと。資格の相互承認をITでは認めているが、看護・介護では認めていないことが背景にある。看護・介護分野の人材不足を外国人に頼ることは決め手にはならないだろう。何故なら、彼らも10年経てば日本人と同じ生活水準となり永住権も取得できるので転職することが予想されるから。

 「賃金の引き上げ」は、アベノミクスが物価上昇率2%というインフレターゲットを設定したことにより、現在は政治的・社会要請となっている。しかし、政治主導とも言われる最近の賃金引上げには構造的に難しい問題がある。例えば、最低賃金や国家公務員の給与などは国が決定できることとなっている。しかし、こうした労働関係政策の意思決定は、労働者・経営者・学識経験者の三者からなる審議会で検討したものを国会で審議するという原則があり、政府の思惑通りには進まない。正規と非正規の賃金格差の是正については大企業と下請企業の慣行を変えないと進まない。その点で政府の責任だけとは言えないだろう。

 「労使関係」は、日本の労組は企業別労組であり、欧米の産業別労組とは大きく異なる。日本では、就職ではなく就社と言われる所以である。労組の組織率は低下し、現在では15%を切っている。この組織率の低下は、商工会議所等の経営者団体や自治会など他の組織でも同様である。その中での労使の意思決定の方法が問われている。組合未加入者の声をどうすくい上げるのか。連合も、国内最大のナショナルセンターと言っても、大企業労組等を中心にしていることや、現下の組織率からして、すべての労働者をカバーできているわけではない。中小零細企業の声をどうすくい上げるのか。現在はIT社会であり労働の成果物も異なってきた。明治時代に制定された工場法を前身とする労働基準法をそのまま使うことはできない。雇用や下請け、その他の面での弱者とのギャップを埋めていかなければならない。

(文責:NS)

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2016年6月例会

日 時:6月22日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師:木伸彦 氏 (愛知県職員、NIMRA会員)
テーマ:「凸凹地形を歩き都市を読み解く」
内 容:

 近年、地形に着目したまち歩きの本や地形・地図から歴史を解読しようとする本が多数出版され、NHKテレビで「ブラタモリ」がレギュラー番組として放送されるようになるなど、地形・地図ブームといっても良い状況である。凸凹地形散歩は、名古屋スリバチ学会のほか、東京スリバチ学会、大阪高低差学会や新潟、京都など各地で同好のグループが発生して活動を行っている。

 背景の1つとして、平成19年に地理空間情報活用推進基本法が制定され、現在では、誰でも国土地理院の基盤地図情報(数値標高モデル)を利用できるようになり、地理院地図やデジタル標高地形図、今昔マップ、カシミール3Dのソフトなどを通じて、従来の等高線で表された地形図では把握できなかった微細な高低差を手軽に目の当たりにできるようになったことがある。

 散歩(フィールドワーク)は、地形と人間の活動や都市の関係を探索するだけではなく、建物探訪、路上観察、考現学など多様な関心を持った人々が参加しており、各参加者の発見を共有する楽しみがある。地形を俯瞰的に眺めることにより、例えば、400年前の名古屋城下町や明治期の鉄道の計画が、地形を踏まえて極めて合理的につくられたものであることが理解できる。地形や高低差に着目するまち歩きは、身近なまちの魅力を再発見するための新たな視点を提供してくれる。

 地形と地名や災害との関わりは興味深いテーマだが、次回発表に譲りたい。

<キーワード>
基盤地図情報/デジタル標高地形図/カシミール3D
濃尾傾動運動/熱田台地/縄文海進/清須越し
海岸線/あゆち潟/川跡/自然堤防
遺跡/地名/土地利用/鉄道/災害
ブラタモリ/東京スリバチ学会/名古屋スリバチ学会

(文責:NT)

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2016年7月例会

日 時:7月21日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師: 小林道和 氏 ( 株式会社 竹中工務店 )
テーマ:「日本、愛知の森林資源と都市の木造建築」

内 容:
 現在、名古屋中心部で数々の大規模建設事業を受注されている竹中工務店様から、大規模木造建築にお詳しい小林様をお招きし、日本の木材利用の歴史、耐火木材製品、都市部での木造建築事例について、ご講演頂きました。

 戦前戦後、木材の需要が急激に増加し、乱伐によるいわゆる“ハゲ山”となってしまう地域も少なく無かった。木材需要を抑制し、また、木造家屋の火事を減らす目的から当時の政府は建物をRC造とする政策を進めた。これら木材需要抑制策の効果はあったものの、外国産木材の輸入増加により、1960年以降、国産木材の需要と木材自給率は下降の一途を辿り、あわせて林業就業者は減少し、森を管理する人手が足りず、国内森林と業界全体が危機的状況に陥っている。この状況を打開すべく、2010年に施行された公共建築物木材利用促進法の制定等により森林と林業再生に向けた政府の取り組みがスタートしている。

 木材を都市部の大型施設で使用する際、それら建築自身の防耐火性能が要件となる。各社が独自の耐火集成材(構造部材)の開発を進めるなか、竹中工務店では集成材内部に熱吸収材料としてのモルタルを埋め込むことで耐火性能を確保した“燃エンウッド”を開発した。“燃エンウッド”は、不燃化のための薬品などを使用せず、木の素材を活かすところにあり、また、仕様樹種のバリエーション、木材産地を選ばず地産地消可能という長所を持つ。以下に“燃エンウッド”を使った施工の具体例を挙げる。

【サウスウッド 横浜市】 環境意識が高い若いファミリー層が多く生活する地域のショッピングモールで、既存の大型のショッピングモールが多く存在する商業激戦区において、木材利用という切り口で施設としての差別化を試みた。都市部の木造化建築で新聞・テレビ等で多く取り上げられた。

【大阪木材仲買会館 大阪市】 3階建てのオフィスビルで、南海地震の津波に備え1階はRC造とし、2階・3階を木造化した。また、火災時の避難時間と煙の燃え広がり時間の検証を行い、建物全体を木質化した。建物背面のRC造の壁は、隣接建屋からの類焼を防ぐ。

【横浜商科大学高等学校実習等 横浜市】 「学校のシンボルとなる図書館を作りたい」という理事長の依頼を受け、国内初の耐火木造による学校建築を実現した。室内内装は神奈川県産木材を使用している。建物外部には、木のチップ50%・プラスチック50%の再生木材を使用しメンテナンス性にも優れる。

【ATグループ本社・北館 名古屋市】 トヨタ プリウスが社会に与えたインパクトに匹敵する環境分野のイノベーション技術を新しい本社建屋に求められ、木造建築を提案した。地区の主要交差点に建築することから、人とクルマが往来する躍動感を曲面屋根で表現し、一本一本全ての傾斜角度が違う木造梁により実現した。ショールームの前面鉄骨の柱と木の梁の間をコンクリートにより火災時における木造梁への熱伝達を抑制する。

【中郷会新柏クリニック 柏市】 「長い透析治療の時間を少しでも気持ちよく過ごせる施設を作りたい」と考えたクリニック理事長が、報道番組で燃エンウッドを使用した木造建築を知り、竹中工務店に相談したことからプロジェクトが実現した。治療エリアに木材を多用し、また、外からも木質感を感じられるように木材を使った仕上げとしている。オープン後、患者増につながっている。

【江東区立(仮称)第二有明小・中学校 江東区】 古くから木材の集積場であった木場が区内にあったことから「全国に先駆けて都市部での木の校舎を実現したい」との区長の要望により大規模な計画が実現した。2018年春の開校に向けて工事が進んでいる。校舎の約半分を木造化している。

 繁華街・大規模・不特定多数の訪れる建築物に関しては、高いレベルでの耐火性能が問われるが、燃エンウッドを使用した木造建築は、耐火性能・耐震性能・耐久年数全ての面でクリアしている。また、コスト面でもRC造に肉薄しており、今後ますます木造大型建築の需要は増えると予想している。

(文責:HM)

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創立40周年記念イベント

開催日:9月17日(土)

第1部 緑陰講座
・場 所:名古屋城
・時 間:9:30-11:30
・内 容:名古屋城 英語によるガイドツアー (天守閣、本丸御殿)
・集 合:9:20 名古屋城 東入口門前 (愛知県体育館横、入場料各自負担)
・協 力:AGGN(愛知善意通訳ガイド協会、英・日)

第2部 記念シンポジューム
・場 所:名古屋都市センター 11階大研修室 (金山)
・時 間:14:00-17:00
・テーマ:「メトロ名古屋の将来像」
・内 容: パネルディスカッション
 セッション1 14:00-15:30 「地域のグローバル化を考える(世界共通経済圏にむけて)」
 セッション2 15:40-17:00 「なごや大都市圏構想の行方(インフラ整備の新たな視点)」
・後 援:名古屋都市センター

第3部 記念交流会
・場 所:金山ホテル9階「かやかや」
・時 間:17:30-20:00

内 容

1.第1部 緑陰講座(プレイベント)

◇名古屋城ガイドツアー(天守閣、本丸御殿)

2.第2部 40周年記念シンポジューム【メトロ名古屋の将来像】

◇セッション1 地域のグローバル化を考える

◇セッション2 なごや大都市圏構想の行方

(文責:NK)

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2016年10月例会

日 時:10月26日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
テーマ:「『メトロ名古屋の将来像』を深掘りする」
コーディネーター:創立40周年記念シンポジュームのコーディネーター

内 容:
 10月例会は、9月に開催された創立40周年記念シンポジュームのフォローアップ例会として行なわれた。討議のポイントを絞り込むため、初めにセッション1「地域のグローバル化を考える」から「外国人労働者の問題」を、次にセッション2「なごや大都市圏構想の行方」から「道州制を踏まえた行政枠組みのあり方」をメインテーマとして討議した。以下にその一端を述べる。

 当会は、「外国人労働者の問題」を毎年例会で取り上げてきた。そこでの論点は、「受け入れの是非」であった。しかし、今やこうした論議の段階を超え、介護や建設、その他の人手不足を解消するために外国人労働者の受け入れを拡大することが国としての喫緊の課題となっている。こうした一連の推移について、次のような意見表明があった。

■少子高齢化による労働人口減少に対してはロボット化や定年延長での対処を期待したが有効な解決策とはならなかった。受け入れは仕方ない。

■少子高齢化の進展は、先日公表された人口推計にも如実に現れている。経済成長の減速、社会の活力低下、若者世代の経済負担増など国の安定的な存立に係わるものだが危機感が希薄すぎる。

■我が国の経済情勢を背景とした問題発生とそれに対する規制を繰り返してきているが、中長期の立場から受け入れと定着のための環境整備を進める必要がある。

■外国人の置かれた環境をみると、中国国内の賃金水準上昇により、コンビニで働く学生の主流はベトナム人留学生に代わっている。来日しても東京一極集中である。韓国や台湾も賃金水準が上昇しており日本の魅力(競争力)は低下している。

■日本国内で年金に加入しても給付は65歳以上からであり中途での帰国は不利益となる。雇用保険も同様で、離職後3ヵ月以内に再就職先しなければ在留資格が無くなるため自己都合退職では失業給付も受けられない。これでは日本で継続的に働くことはできない。

■愛知県においては、従業員数1,000人以下の中小企業が新卒を採用することは難しい。よって、若年労働者確保のためには外国人労働者の採用が必要となる。

■東急電鉄ホールディングスは、ベトナムで住宅開発事業やバス運行の交通システムや従業員教育等の整備を行っている。今後必要となるソフト面の外国人社員を確保するため、日本で大学生向けに学生アパートを展開し、なおかつ留学生に就職斡旋している会社を買収した。国内と海外での外国人留学生や労働者の一貫した受け入れ採用に乗り出していくようである。

■今後日本が必要とする労働力の受け入れ要求分野(人手不足の建設、介護等)に高度専門職(熟練労働者)の名目で補完人材(低賃金な非熟練労働者)を導入する動きがある。その他に、同様な例としてTPP対策が絡んで秋田県八郎潟等の大規模農業分野で政策特区を利用した高度専門職名目の受け入れ枠大幅拡大が目論まれている。

■こうした動きは、一時的要求から、将来課題(国内における賃金水準低下・失業者や犯罪率増加)の解決を先送りにする解決策を急ぐ動きであり懸念される。

■ロングステイの目的は多様化しており、中には、自分自身と両親が介護サービスを受けるためにフィリピンにロングステイする人もいる。外国人による介護サービスの受け方も多様化している。

 二つ目のテーマである「道州制を踏まえた行政枠組みのあり方」だが、当日は改めて当地区においては、愛知県と名古屋市の二重行政による無駄な行政コストの削減が大都市圏構想を進めるにあたっての最優先事項、との問題提起がなされた。これに対し次のような意見表明があった。

■名古屋大都市圏の発展形の道州制を前提として、大都市圏の行政枠組みのあり方を考えるときに、都市規模や輸送・物流・情報手段の拡充等のインフラ面の整備拡充のみの議論をしても、この本来目的が行政機構の簡素化(効率化)であるのだから、現状の市民〜行政の対峙の仕方の延長で考えたのでは、早晩コスト増で破綻する。

■従って、簡素化・効率化をしても市民サービスレベルが低下しないような行政サービスの民営化・市民の行政サービスへの参画(アメリカで進んでいるボランテイア導入)等の議論・枠組み検討を先ずしっかり議論すべきである。

■二重行政による無駄の内容を明らかにしていく必要がある。県庁と市役所という2つの建物があり首長が二人いることは事実だが、重要な問題は、どのような重複した行政サービスがあり、それは金額としていくらかということである。

■平成の大合併の結果、愛知県でも市町村数は大きく減少した。合併特例債などによる財政支援措置が大きな推進力となったが、本来の意味での合併効果が生じているか検証する必要がある。

■財政基盤が豊かな自治体は合併の必要性を当初から認めておらず大きな意識格差がある。大都市圏構想実現の上でネックとなるのではないか。

■都市ブランドイメージ調査などによれば、名古屋は観光都市としての魅力に乏しいと言われている。しかし、経済都市としての魅力は大きいのであり、この面を伸ばしていけば当地区の発展を維持できるのではないか。

 この他にも多くの発言があった。引続き自由闊達なディスカッションを続けていきたいと感じた。(文責:NS)

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2016年11月例会

日 時:11月24日(木)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル7階)
講 師: 近藤 知樹 氏 (KONDO建築研究所 主宰、NIMRA会員)
テーマ:「建築設計に関わって---建築について、設計について」

案 内:

 近藤知樹氏は名古屋市出身で、名古屋大学の原子核工学科から建築学研究科の大学院飯田研究室(建築史、建築論)に進学され、在学中に吉阪隆正早大教授率いるル・コルビジェ・シャンディガールツアーに参加されました。
 修了後は作家事務所の渡邊洋治建築研究所(4ヶ月)を皮切りに、水原設計事務所(中規模事務所京都4年間)のあと渡米。パオロ・ソレリのアーコサンティ(アリゾナ)に参加、ニューヨークのビーターグラック・アソシエイツ(1年)勤務、この間車でアメリカ大陸を二回横断され、1981年に31歳で帰国されました。
 同年から梓設計(大規模事務所)東京本社に13.5年勤務のあと45歳で名古屋に戻られ、大井建設(中規模ゼネコン)に10年間勤務。この間に建てられた自邸は名古屋市都市景観賞を受賞されています。
 56歳からは名古屋の中規模事務所ISO設計に5年間務められたあとKONDO建築研究所を立ち上げられ現在に至っています。
 というアトリエ事務所からゼネコンまで、原子核から建築まで、日米にわたる幅広く華麗なエコロジーや設計の経験から、〇作品論、デザイン論 〇科学者と建築家、〇建築の社会性経済性、〇設計と施工、〇日米住宅比較論、〇設計に対する基本的考え方、などを語っていただきます。

内 容:

 現在68歳になる近藤氏は名古屋大学大学院工学研究科建築学専攻の先輩にあたり、多岐にわたる活動は漏れ聞こえていたが、今回初めてまとまったお話を聞くことができた。

 内容は人生を変えた高校入試の失敗談から面白く始まった。おかげで二浪して名古屋大学工学部の原子力工学科に入学したものの、学部の内容は化学的な実験の繰り返しが多く志とのずれを感じて、大学院は建築学科に進んだ。

 ところが今度は建築家の書く文章の科学や工学からはかけ離れたレトリックに戸惑いを覚える日々だった。修了後国際コンペの打ち上げで知り合った狂気の建築家、渡邊洋治建築研究所に進んだが暴力的な所内の様子に短期間で辟易して、より実務的な中規模事務所、彦根の水原設計事務所に変わり、ここで多くの実務的な修行をすることができた。

 一級建築士の資格を取って31歳で渡米、パオロソレリの実験都市のプロジェクトに参加したのちピーター・グラック・アソシエイツに勤め、車で落水荘やファンズワース邸など有名建築を見て回った。ソレリは温厚な人物で、またグラック所長に建築家に一番大事なものは何ですか、と尋ねたところ、クライアントだという答えたことが印象に残っている。

 帰国後結婚、大手設計事務所の梓設計に入所して、当時勃興期だったCADシステムの構築にSE的にかかわったこともある。この間東京で購入したマンションに住んでいたが、45歳で名古屋に戻り義理の父の経営する中規模ゼネコンに勤務。東京のマンションを転売して本山に自宅を新築したが、家族の円をモチーフとしたプランで名古屋市都市景観賞を受賞することができた。

 この間また施工者サイドに立つことでコストダウンの手法を学ぶことができた。56歳からは名古屋の中規模事務所ISO設計に参加。環境に配慮した鉄筋コンクリート外断熱の手法を学ぶことができた。この手法はコンクリートの躯体を蓄熱体として室内の急激な温度変化を抑えるとともに、躯体自体も熱応力の繰り返しから保護できるという意味がある。

 還暦を越えてからようやく自らのKONDO建築研究所を開いたが、その際に父親の残した土地に賃貸マンションを設計した。これはRC壁構造階段室型三階建て12室とコンパクトだが、これまで習得したコストダウンと設計上の環境技術の集大成ともいえるもので評判がよく見学者が絶えない。

 これに目を付けた不動産業者が別の建築家で同じプランを全国展開しようとし、著作権訴訟に発展したものの、住宅のプランの著作権を主張することはなかなか困難で、和解した経緯がある。

 例会は、担当の不手際でパソコンの設定にもたついて、質疑応答の時間が取れなくなったが、結果的にはたくさんの画像を見ることができ、質疑はそのあとの懇親会に持ち越し、大いに盛り上がった。

(文責:KA)

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2016年12月例会

日 時:12月21日(水)19:30〜21:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 7階教室(名駅永田ビル)
内 容:情報交換市
 会員が最近の話題を持ち寄り、忘年会を兼ねて談義しました。

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