NIMRA 2012年の研究会

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2012年総会

日 時:1月25日(水)19:00〜21:00
場 所:リビエール(栄)
内 容:
 2011年決算、2012年役員人事、2012年事業計画について審議し承認を得た。
 会長:鈴木 信好

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2012年2月例会

日 時:2月22日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
講 師:丸山 茂樹 氏 (I.C.Nagoya校長、NIMRA会員)
テーマ:「日本社会と外国人の労働滞在を考える」
内 容
 7月から「外国人版住基カード」が実施される。これから起こる日本国内での外国人の労働について、日経新聞1月22日社説、読売新聞2月15日一面、日経新聞2月18日夕刊、ウエッジ2月号の記事を参考にしながら、講演が進められた。(以下、講師講演の要旨)

 この記事から何を読み取るのか? 果たして日本は外国人労働者の受け入れに積極的なのだろうか? 例えば外国人労働者の厚生年金は、途中で帰国すれば一時金のみで掛け捨てになってしまう。日本人による日本人の為の国家に誰が住みたいだろうか?

 厚労省は「まだまだ女性の労働力の活用、65歳までの高齢者、失業者の活用」と叫ぶが、本当に不足している農業、林業、介護労働を彼らが志を持って就業するのだろうか? ドイツではトルコ人移民が減少して技術力が低下していると言われているが、日本では移民の議論すら出来ないまま、なし崩し的に外国人労働者に経済を依存している事に日本人の大半は気がついていない。気がつかないで進んでいく事で様々な問題が先送りされて取り返しのつかなくなる前に何とかすべきだと思うのは、講師だけでは無いはずである。

 人口減少と共に社会保険料負担が増える事で様々な問題が起きつつあり、更には消費税増税による消費の減退が、企業の海外進出ならぬ、海外脱出に拍車を掛ける羽目になるやもしれない。人口減少が及ぼす影響は様々な所に出始めているが、今年7月に始まる在留カード(外国人版住基カード)に続くマイナンバーの動き等を注視して行く必要がある。

 いずれにしろ、議論無きままに外国人労働者に依存しなければならない日本の現状を明確に認識しなければならない時期に入っているのは確かである。
(文責:SM)

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2012年3月例会

日 時:3月21日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 12番教室 (名駅 大名古屋ビル 1階)
講 師:平手 次郎 氏 (旭サービス株式会社 顧問)
テーマ:「コンテナ四方山話」

内 容
 3月例会では、名古屋港の旭サービス株式会社・顧問の平手次郎さんを講師にお招きし、最近街角で貸倉庫、店舗としてよく見かけるコンテナ(特に海上輸送用)に関して、一般にはあまり知られていない発展の経緯・歴史・活用・問題点等に関し、コンテナ販売会社のトップとして経営に携ってこられた経験、知識を基に“コンテナ四方山話”として語って戴きました。

 平手氏は名古屋の日本郵船系列・旭運輸鰍ノ勤務し、学生時代より公私含め欧米、NZ、アジア諸国等24カ国歴訪、コンテナ販売を行う旭サービス椛纒\取締役社長に。その豊富な経験と知識を基にコンテナに纏わる各テーマをお話し戴き、更に近年シルバー世代人気高まる客船クルーズにも一部触れて戴きました。以下、その要約です。(文責:MK)

【平手氏講演の要旨】
 市内でも貸スペース等でよく見かけ、日常でも身近となった海上コンテナ、特に記憶に新しい3年前の港区でのコンテナ横転死傷事故の話題から始まり、コンテナの歴史へ。

 コンテナ革命の父と称されるマルコム・マクリーンは、中古トラック一台で会社経営を始め、空のタバコ樽を運んで会社を発展させる。それを売却して船会社とターミナル会社を買収。陸海運の効率を考え、トレーラーを船倉に積込む貨物船を実現。更に、コンテナを規格化、ガイドレールをタンカー内に設置し、コンテナを積木の如く積んで固定できるコンテナ船を造る。その船が1956年4月“Ideal X”として出帆、Houston迄58個の35Feetコンテナを運ぶ。

 57年にはセル方式コンテナ船をNew Yorkとフロリダ、テキサス間で定期就航、58年米国とSun Juan、Puerto Rico間サービス開始、60年SEA-LAND SERVICE INC.に社名変更。67年米国政府要請によりベトナムへサービス開始、ベトナム戦争の兵站も行う。69年SEA-LANDをRAYNOLD TOBACCOに売却、役員に就任するも保守的文化を嫌い77年退任。78年UNITED STATES LINEを買収し当時世界最大のコンテナ船を建造、世界一周航路を就航させる。87年原油高騰で倒産。2001年87歳で死去。

 コンテナ輸送自体は、1911年には高価品などの鉄道及び在来船輸送で存在、第二次大戦後に欧米で広まるが、本格的にはマクリーンが始めたとされる。コンテナ化で海上輸送が早く安く安全となったことにより、生産拠点がアジアに移り、以前では想像もされない豊富な低価格商品が消費者に届くようになった。80年以降も、コンテナ化拡大、国際貨物急増、更なる拡大からコンテナ船の巨大化が進んだ。“EMMA MAERSK”が世界一。全長397.71m幅56.4m総トン数170,794GT。

 続いて、コンテナ各種の構造・特徴、活用につき説明。活用では特に建物用を例に、全て要基礎工事、床面積10平米以上は要確認申請・許可の点(建築基準法)を強調された。  最後にクルーズ船に関し、先般座礁した“コスタコンコルディア”や客船世界最大の“オアシスオブザシーズ”を取上げ、ランク松竹梅とすればこれらは梅、日本ではまだまだ一般でないが、一泊僅か1万円程と安く、欧米人には既に気軽な対象となっている。実際、クルーズ人口は過去20年間で世界では4倍に増えているが日本国内は横ばいである。

【文責者コメント】
 以上の他、実体験を交えた話など興味深く、客船の体験談ではドレスコードについて自分だけが正装して他皆カジュアルであったこと等々、楽しく聴講しました。

〈講師プロフィール〉
平手 次郎(ひらて じろう)
1948(S23年)生まれ
1972(S47年)3月 南山大学文学部仏文学科卒業
  同   4月 旭運輸株式会社 入社
    学生時代より公私含めて欧米、NZ、アジア諸国等24ヵ国歴訪。
    在米日系企業勤務、国際物流部部長、営業企画室室長を歴任
2004(H16年)6月 旭サービス株式会社 代表取締役社長就任
2011(H23年)6月 旭サービス株式会社 顧問就任

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2012年4月例会

日 時:4月25日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル 2階)
講 師:筒井 真 氏 (且O重銀総研 取締役副社長)
テーマ:「三重県を中心とした東海地区の今とこれから」
内 容

 日頃の自分を振り返ると、名古屋市の出身者であるため、物事を見るときには愛知県や名古屋市の視点に立っていることが多いと感じる。そこで、同じ東海地区の一員である三重県は当地区をどう見ているのか、三重県の実情はどうなっているのかということが知りたくなり、筒井氏に講師をお願いした。

 筒井氏は、昭和51年に名古屋大学経済学部を卒業し且O重銀行に入行。同行調査部長、且O重銀総研調査部長などを歴任、昨年6月に同社 副社長に就任された。

 講演は、最初に「2000年以降の東海3県の景気動向」について、日銀短観のデータに基づき全国の景況感と比較しての解説があった。続いて「三重県・愛知県の経済的特徴」「三重県経済の現状と見通し」「愛知県経済の現状と見通し」という3項目についての、詳細な説明があった。以下に、特に印象に残ったポイントを4点だけ記す。

@東日本大震災による東海3県の落ち込みは、全国平均より大きかった。一方、過去のITバブル崩壊やリーマンショック時に比べれば、落ち込み度は少なかった。

A製造業が県内総生産に占めるシェアを全国平均の17.7%と比較すると、愛知県は29.3%、三重県は33.1%であり、ともに製造業が強みを持っている。

B三重県北勢地域の出荷額は6.5兆円であり、北陸3県の合計額や滋賀県全体の出荷額より大きい。これは、一方では、三重県内で所得格差や過疎化の進展といった南北問題をもたらしている。

C地域経済に大きな影響を与える立地企業の動向として、愛知県では「トヨタ」に焦点が当たるが、三重県では「ホンダ」「シャープ」「東芝」の経営動向が問題となる。

 当日の配布資料は、「分かりやすいお話を」との要望を付けてお願いしたためか、メインのレジュメのほか、三重銀総研発行の「経営者アンケート調査結果」「主要経済指標ハンドブック〜全国と三重・愛知の統計」「MIE TOPICS」(企画編集)に加え、三重県の観光ガイドや美術館・博物館ガイドなど、多くの資料を用意していただいた。今後これらの資料に目を通し三重県に対する理解を深めるとともに、来年20年に一度62回目の式年遷宮が行われる伊勢神宮をはじめ、三重県各地に数多く出かけたいと思った。

(文責:NS)

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2012年5月例会

日 時:5月23日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル 2階)
講 師:脇坂 博明 氏 (釜e坂公開企画 代表取締役)
テーマ:「中国社会における面子(メンツ)の光と影」
内 容

 脇坂氏は、株式公開コンサルタントとして東証・大証・名証等30社超の株式上場指導に関与されるとともに、ベンチャー企業や経営革新企業の資金調達支援、中期経営計画の策定支援など幅広く活躍されている。今回は中国社会についてお話し頂いた。以下に講演内容の要旨を記す。

 中国では、法治社会が未だ確立しておらず、法律に代表される制度や仕組みが頼りにならないため、中国人は「面子の大きな人間」に依存して、自らの生活と安全を確保し、事業の拡大を追求するという人治社会である。中国人の「面子が大きい」という言葉は、その人の問題解決能力が高く、頼れる人間であることを意味し、中国社会では最大級の褒め言葉である。そのため、中国人の自己主張は、多くの場合において非常に強烈で、自分の知識・学歴・経歴・友人・知人など様々な材料を持ち出して、自分は他人より優れていると強く主張し、その自己評価は身の丈に合わないほど高い。そして、中国人は、自分は他の人より優れていることを常に主張し、周囲からの評価や称賛に執着するなど、その褒められたいという願望は強く、自分なら必ずできると自己暗示をかけ、尋常でない努力をする。反対に、公衆の面前で、自分は他人より優れていないことが明確になってしまう(面子がつぶれる)と、世間が悪い、周囲の自分を見る目がないと言い訳をする。中国社会では、他人に見栄えのする(高価な?)贈り物を渡すということは、相手の面子を立て日頃から尊敬しているというメッセージであり、単なる付き合いやお裾分けではなく、極めて戦略的な行為である。

 有能な中国人は、自分も周囲から面子を立ててもらう代わりに周囲の人の面子も立て、互いに面子の立て合いをする(相手の自尊心を満足させる)ことにより、周囲の関係者を自分の勢力範囲に取り込んでいく。ところが、中国人は、常に自分は他人より優れているということを証明しようとすることから、自己中心でチームプレーが得意ではなく、全体の利益を考えるより、自分が評価されることを優先してしまう傾向が強い。  すなわち、面子は、中国人のモチベーションの源泉であると同時に、貧富の格差や権力の大小のほか、汚職や腐敗に見られるように、中国社会に充満する一般大衆の不満の形態でもあり、人の力で人を動かす人治社会においては、面子は今後の中国社会の動向を左右する大きな光と影でもある。このような中国の人治社会の中で、今般、重慶市党委書記の薄熙来氏が解任された。温家宝首相は、文化大革命のような悲劇が繰り返される可能性があるとして非難したが、今後の中国は・・・・・・・・・・

(文責:NS)

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2012年6月例会

日 時:6月20日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル2階)
講 師:木 伸彦 氏 (NIMRA会員、愛知芸術文化センター管理部総務課勤務)
テーマ:「愛知芸術文化センターの20年 −芸術文化施設のこれまでとこれから−」
内 容

 6月例会では、担当の木が勤務する愛知芸術文化センターをテーマに取り上げます。国内有数の複合芸術文化施設として1992年に開館した愛知芸術文化センターは、今年20周年を迎えます。日本初の本格的なオペラハウスを始め3つのホールを有する芸術劇場、大規模美術館、文化情報センターなどから構成される愛知芸術文化センターの設立から現在までの歩みを、国内外の美術館や劇場と比較しながら辿るとともに、都市における文化施設の機能や役割についてもお話したいと思います。

 芸術文化センターを始めとする国内の文化施設は、経済や社会の変動に伴って、現在様々な課題に直面しています。一方で、今後も都市機能の要として文化施設の果たす役割は大きなものがあります。例会では、文化施設の将来像についても皆様とともに考えたいと思いますので、ふるってご参加ください。

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2012年7月例会

日 時:7月24日(火)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル2階)
講 師:阿部 伸哉 氏 (中日新聞社 編集局経済部 自動車取材班キャップ)
テーマ:「トヨタの今と明日 報道の現場から」
内 容

 7月例会は、中日新聞経済部の記者でトヨタ自動車取材班の阿部伸哉キャップから、トヨタ自動車とそのグループがかかえる課題や今後の戦略などについて、取材現場での経験を散りばめながら話をしてもらいました。以下は講演の要旨です。

 トヨタ取材班のキャップになって2年になる。かつて所属した社会部の時は書いた記事に苦情から激励までいろいろと反応があったが、経済記事の場合は、読者からの直接の反響は思ったより少ない。きょうはみなさんとの質疑の中で、トヨタについて読者の関心がどこにあるのか、どんな記事を求めているのかをつかむ参考になればとも思います。

 いまトヨタ報道で露出度が高くなっているのが豊田章男社長だ。創業家の4代目で、56歳。国際C級ライセンスを持ち、自らスポーツカーも運転する。本当にクルマとクルマ談義が好きな社長だ。周辺もそうなりつつある。しかしわれわれのような一般紙の経済部記者の関心は、台数や売上高、生産工場など「数字と経営戦略」に向きがちで「商品としてのクルマ」はあまり突っ込んで書かない。そんなずれが生じている。

 経営戦略で章男社長が好きな言葉は「国内300万台体制の維持」。300万台は1980年代のレベルだが、当時の海外生産は20万台。今は海外生産が400-500万台もあるので、「国内」の意味がまったく違う。だから、トヨタに厳しい見方をする人からは「300万台にどんな根拠があるのか」とか「そもそも300万台維持が可能か」などの疑問が出ている。

 もうひとつ、章男社長がよくいう言葉が「公益資本主義」である。米国を「市場万能の大資本主義」、欧州や韓国を「国家資本主義」と称して反発し、「トヨタの公益」には大企業としての責任や雇用維持、日本発の技術革新などの意味を込めている。

 ご存知のように日本の自動車市場の環境は厳しい。若者にとって1980年代ならクルマは「夢の乗り物」でありえたが、今は労働市場から締め出され、消費や関心はケータイに向かいがちだ。章男社長は「悲観論ばかり言っていてもダメ」という。「免許を取ろう」というテレビCMを打ったり、ハイブリッド車の新型やスポーツカー「86」を出したりといろいろ手は打っている。現役社長としては異例だが、日本自動車工業会の会長職をかって出て自動車税と重量税の撤廃に乗り出したりもしている。

 300万台体制を「国内での組み立て台数」として維持するのは難しくはないだろう。しかしこの超円高下で価格競争力を維持しようとすると、部品のかなりを海外から持ってくるしかない。ある部品会社トップは「一次下請けは必要部品を海外から輸入してやっていけるだろうが、二次以降には仕事が回ってこなくなる」と話していた。このままだと国内工場の車でも「日本産」といっていいかという疑問もでるかもしれない。

 こうした流れなので「トヨタの明日」は、正直いって断定的にはいえない。いわば気合いで300万台は守るという心意気を評価するのか、一皮めくると二次三次は極めて厳しいという懸念に軸足を置くべきか。いつも悩みながら取材し、書いているというのが現実です。

(文責:MD)

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2012年 緑蔭講座

開催日: 9月22日(土)23日(日)
行き先: 滋賀県 近江八幡
講 師: 佐竹 章吾 氏 (近江八幡市立資料館 館長)
テーマ: 「近江商人に学ぶ」
日 程:
 9月 22日(土)
   昼食 「喜兵衛(きへえ)」
   午後 「近江八幡商人に学ぶ」講演会、市内散策
   夕食と宿泊 八幡酒蔵工房
   夕食後 地元NPOや任意団体との交流会
 9月23日(日)
   午前 水郷めぐり
参 加: 会員9名
内 容:

 今年の緑蔭講座は、近江八幡を訪問しました。土曜日のお昼に老舗郷土料理店「喜兵衛」に集合し、昼食後、近江八幡市立資料館館長の佐竹章吾さんから「近江商人に学ぶ」という講演会をして頂きました。近江商人は楽市楽座の自由商業主義の時代に活躍し、”買い手よし”、”売り手よし”、”世間よし”、という「三方よし」の理念を掲げ、自らの利益のみを追求することなく、社会事業に大きく寄与し、地域の発展に貢献したようです。歴史観に現在の経営学を交え勉強になるお話しを伺いました。

 講演会の後、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの建築物を見学しながら近江八幡の街歩きを楽しみました。ウィリアム・メレル・ヴォーリズは、市政資料館のほか近江八幡で様々な社会貢献活動を行い、多数の作品を残した建築家です。

 宿泊は、八幡酒蔵工房にお世話になりました。築120年の放置町屋をリノベーションしたお宿でしたので古さは否めませんが、1泊6,000円で近江牛すき焼きの夕食と朝食付きという安さに加えて、昔懐かしい庭や建物の佇まい、そしてそれ以上に宿泊施設を運営されている人との出会いは意義あるものでした。ご自身もNPOを運営し、街づくり活動やアートや音楽に関して造詣が深く、会員との話題が尽きず、さらにその方のご紹介により、食後は地元NPOや任意団体の代表者の方々とカジュアルな懇親会を開催ができ、近江市民の街づくりに対する思いを伺うことができました。

 二日目は朝からの雨も次第に収まり、水郷めぐりを楽しみました。電柱や建物がない昔の日本では当たり前だった風景の中を、手漕ぎ船で静かに旅する約1時間半は優雅であり、幻想的でさえありました。

 素晴らしい人との出会いや美しい景色にこころが満たされ、おいしい食事におなかも満たされ、それでいて宿代や名古屋からの交通費も安く財布にやさしいと、まさに”三方よし”の旅でありました。(文責:YT)

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2012年10月例会

日 時:10月24日(水)19:00〜20:30
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル2階)
講 師: 阿竹 克人 氏 (活「竹研究所所長、大学講師、NIMRA会員)
テーマ:「テラメリーゴーラウンド 成層圏国際都市構想について」
内 容

 講師のテラメリーゴーラウンド構想はすでに「形の科学会」「ブイヤント航空懇談会」で発表されているものであリ、今回は、翌月に予定されている「形の科学会シンポジウム」の予稿をもとに、より小型の実験機から実用化に向けての道筋までについて、お話し頂きました。

 最初に、講師の空中都市構想がバックミンスターフラーの空に浮かぶ直径二マイルのジオデシック球の現代版であることから、講演は、まず「19世紀生まれの21世紀人」バックミンスターフラーの紹介から始まった。代名詞とも言えるフラードーム以外にも流線型の自動車やユニットバスの発明、宇宙船地球号など地球環境問題の提起等の業績は意外に知られていない。

 次に、講師のテラメリーゴーラウンド構想の解説があった。これは、本会で何度か講演のある太陽熱飛行船技術(昨年2月に特許権成立)をベースにして、ミレニアムプロジェクトの成層圏プラットホーム構想を再構築したものであり、具体的には、プラットホームの定点滞留をやめ、ヘリウム補給の必要の無い太陽熱飛行船60隻以上を、ジェット気流に乗せて中緯度をぐるぐる回しながら電波ネットワークを構築するものであり、さらに発展させれば、成層圏に浮かぶ宇宙空港として宇宙エレベーターより一足先に航空宇宙のネットワークを一変させる可能性を秘めている。

 空港島に相当する長さ4km直径1kmの回転楕円体を水蒸気で空に浮かべると、20万トンの豪華客船並の積載量で数千人が居住することが出来る。一週間程度で風に乗って中緯度を一周するので、フェリーのように地上からコミューターや自家用機で行き、目的地で降りれば格段に少ないエネルギーで地球の反対側に行ける。急ぎの場合はオリエントエクスプレスのような弾道飛行機で空港島同士を結べば地上からの離発着より対流圏飛行を考えなくて良い分だけ技術的なハードルが下がる。また全体に薄膜太陽電池を貼れば約30万キロワットと小型原発なみの発電が出来るので、軌道上のSPSSよりも実現の可能性がある。まず手始めは一人乗りからということで、加熱水蒸気を使うハンクグライダーのような新しい乗り物が示された。

 講演の後半は、宇宙エレベーターやカーボンナノチューブなど、先端技術の話題になり、明るい未来を垣間見る時間となった。

 今回初めて講師のフェースブックで例会告知を行い、講師の知り合いで会員外の4名の参加者があった。そのあとの懇親会も12名参加と盛会となり、さまざまな話題に花が咲いた。(文責:KA)

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2012年11月例会

日 時:11月21日(水)19:00〜21:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル2階)
講 師: 阿竹 克人 氏 (活「竹研究所所長、大学講師、NIMRA会員)
講 師: 林 清隆 氏 ((株)国際都市政策研究所 所長、NIMRA会員)
脇坂 博明 氏 ((株)脇坂公開企画 代表取締役) テーマ:「中国を考える」
内 容

 中国のまちづくりと政治経済事情について、2部構成で2人の講師からお話し頂きました。

<第1部 林 清隆 氏 「最近の中国(特に北京)のまちづくり事情」>

 初めて中国を訪問したのは今から24年ほど前のことです。日中両国建設省(部)の都市開発交流事業として参加。その当時の北京は、都市部の広い道路も殆ど車も走っていなく、まだ薄暗い冬の早朝、ホテルの窓から見た幹線道路は、片側で5列ぐらいに並行して走る自転車の群れでした。道路反対側も同じような通勤の自転車が流れていました。当時はほとんどの人が、国民服を着ており、色のない世界でした。時々走る自動車も暗闇の中をライトも点けず走行しているのが多く、後で中国人から聞いて分かったのは、バッテリーの消耗がもったいないからとのこと。上海でも、換算道路の真ん中をリアカーに山ほどのダンボールを積んでゆっくりと引っ張ってゆく光景が今でも明確に残っています。浦東地区も計画が固まった程度で黄埔江を横断する地下トンネルも完成間際でしたが、特別に通らせてもらった浦東地区は、田んぼを中心とする田園風景でした。今では北京も上海も別世界のような都市に変貌しました。

 それから四半世紀が経ち、中国のGDPは日本を抜き、政治経済的にも日本を睥睨する状況にあります。その当時、北京市の人口は600万人ほどが、現在では約2,100万人ほどに膨張しています。市域は、16,000kuで愛知県の3倍の広さがあります。中国では、市の下に県や区があり、日本の市とは制度的大きな差があります。もちろん、小さい市もあるが、北京、上海、天津及び重慶は特別直轄市で他の省と同じ立場。  中国の土地は全て国有であるといわれることも多いが、それは大きな誤解。基本的には市街地及びその周辺部の重要拠点は国有であるが、農村部の主として農地は農民の共有地という私権が認められている。しかし、個人の所有は認められていなく、農地として利用することが原則。建物は私有であるので、市街地の土地には使用権を認め、所有権との分離を行っている。日本でいう借地のようなもの。まちづくりにおいて、土地問題は決定的なものであるとともに、現在中国の共産主義は、一党独裁の政治体制と土地管理を主軸に政治が成り立っているといっても良い。

 この30数年で中国の都市化人口は17%から50%近くに増加しており、将来的には先進国並みの80%になることは必然であり、総人口の成長を無視しても都市の爆発が始まっている。土地利権、自動車の急増、都市住宅の供給、それに伴う都市インフラの整備には大きな課題を抱えている。これらの視点に立って、20数年来の観察と3年前に訪れた折の北京観察、並びに精華大学・譚縦波教授のパワーポイントも合わせて北京のまちづくりを紹介した。

<第2部 脇坂 博明 氏 「最近の中国の政治経済事情(最近のトピック的事象に鑑みて)」>

 中国・北京の郊外に、清朝第6代皇帝の乾隆帝が建てた「円明園」がある。当時、清の領土は、中国史上最大にまで拡大し、19世紀前半の時点では中国のGDPは世界の3分の1を占め、まさしく圧倒的な覇権国であった。しかしながら、中国は、産業革命で日本や欧米に遅れをとり、世界の覇権国の地位から急落し、日清・日露戦争において日本の進出を許すこととなる。仮に、乾隆帝が、西欧の産業革命の科学技術を積極的に取り入れていたら、中国の歴史と世界の事情は一変したであろう。  ところで、日本は、尖閣諸島の国有化について、将来にわたって安定的に国家管理するのが望ましいと判断し、政府が閣議決定までしたものの、自由で多様な価値観を認める自由主義・資本主義体制の日本とは異なり、「土地(領土)の国有化」ということは「土地(領土)はすべて国家のもの」という、国家主義・社会主義体制の絶対的な国有化を主張する一党独裁の中国に対しては、日本政府の「国有化論」の政治的研究がなかったことは否定できないであろう。

 さて、本月8日開催の第18回中国共産党大会では、習近平氏をトップとする新しい指導者を9人から7人に減員して選任し、保守派の江沢民氏に近い人物が党の最高指導部である政治局常務委員の過半数を占め、中国政治が特権階級や既得権益集団の均衡のうえに成り立っていることが分かる。胡錦濤氏の直系の常務委員は、李克強氏だけであり、改革開放で経済・社会・文化は変わったにも関わらず、政治だけは旧態依然として、より閉鎖的で悪化したように見える。これでは、中国社会の情報と権力を党の長老や幹部が独占し、国有企業と癒着して子弟や親族を経営陣に加え、利益を海外留学した子供の下に移転するという、既得権益集団の利権構造は変わっていない。

 また、国有企業だけが栄える「国進民退」が最大の問題で、生産性や付加価値の向上は政府主導の対応では極めて困難であり、民間企業が自由にその役割を発揮しなければならず、リーマンショック後の4兆元経済対策の後遺症である地方の重債務や過剰設備の問題が大きく、人件費等のコスト上昇や海外からの投資と貿易にも陰りが見え、中国の高度成長は終わったように思える。胡錦濤氏も、富裕層への適正課税と所得の再分配を実現するため、国有企業や党幹部の資産公開を行おうとしたものの、弱い権力基盤の下では実現できず、また、中国は人口が多いだけに財政による所得の再分配には限界があるため、速やかに内需中心の経済構造に転換し、実体経済の中での所得格差を是正する必要があるが、これも極めて難易度は高く、社会主義市場経済が臨界点を迎えている。

 さらに、20年間の共産党独裁による市場経済は、特権階級と既得権益集団を生み、汚職と腐敗の温床となっており、経済が低成長に入ると開発独裁は正当化できず、賃金や不安定な雇用形態等への不満はデモや暴動の多発という形で表れ、社会の矛盾を覆い隠すことができなくなっている。 20年にわたる愛国主義教育の中で育った、格差社会の負け組の農民工二世たちが「愛国無罪」を護身に掲げた反日デモの影響により、日系企業が撤退や破綻に追い込まれれば、中国人の雇用に大きな打撃を与えるとの懸念から、地方政府は日系企業の動向を心配しているが、中国が国連に提出した領土問題については、中国が自ら手を引くことは考えられず、中国の海洋覇権の決意は極めて固い。 米国は、経済的な問題から、中国とは戦略的に妥協せざるを得ない状況であるが、中国の不透明性に対する不信感は依然に比べ急激に高まっており、ミャンマーの離反やベトナムとフィリピンの海洋権益の巡る問題など、尖閣諸島の周辺海域でも紛争が絶え間なく続くことが懸念される。

 最後に、日系企業の中国事業撤退において、中国法令に基づく割増賃金と割増退職金の支給ならびに中国進出時の優遇策への金銭返還の問題のほか、第2次世界大戦末期の旧ソ連の侵攻による混乱の中で、中国に置き去りにされ、中国人の家庭で保護され、帰るに帰れなかった中国残留孤児について、当時の中国東北部の封建的な身分制度や身分環境の本質を十分考える必要がある。

<例会全体を通じて>

 以上、講演会方式としては本年最後の例会にふさわしい豪華2本立ての中国に関する講演でした。林さんのお話では、中国社会のファンダメンタルズ・骨格についての理解が深まりました。脇坂さんのお話では、今の中国社会の内情・矛盾についての理解が深まりました。とは言うものの、やはりよく分からない、想像の域を超えている というのが率直な感想です。日本を基準とした発想では理解できないように感じました。
(文責:NS)

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2012年12月例会

日 時:12月19日(水) 19:30〜21:00
場 所:I.C. Nagoya 教室 (名駅永田ビル2階)
内 容:情報交換市
 会員が最近の話題を持ち寄り、参加者で談義しました。

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