NIMRA 2001年の研究会

  • 総会 (2001.1.25)
  • 2月例会:タイ・シューホー氏「中国少数民族・ハニ族の宗教と文化」(2001.2.22)
  • 3月例会:川村 信之 氏「デジタル革命による経済産業変革の日米比較」(2001.3.15)
  • 4月例会:舩木 堅太郎 氏「水道(今さらなんで水道?)」(2001.4.19)
  • 春の野外活動:小原村にてバーベキューとカヌー (2001.4.27-28)
  • 5月例会:藤原 歳久 氏「次世代環境デザインとソ−ラ−飛行船」(2001.5.24)
  • 6月例会:小宅 一夫 氏「名古屋市の中心市街地活性化計画について」(2001.6.20)
  • 7月例会:土田 太郎 氏「マレーシア最新事情〜3年間のクアラルンプール駐在を終えて〜」(2001.7.18)
  • 9月例会:阿竹 克人 氏「飛行船地球丸運航裏マニュアル(フラーと21世紀)」(2001.9.19)
  • 緑陰講座:東濃牧場・阿木川湖畔・岩村町 (2001.9.29-30)
  • 10月例会:里村 悟 氏「介護予防を通して元気な高齢者を増やす〜高齢者自立促進サ−ビス事業の展開〜」(2001.10.24)
  • 11月例会:村田 真宏 氏「21世紀に美術館は生きのこれるか」(2001.11.21)
  • 12月例会:情報交換市(2001.12.5)
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    2001年総会

    日 時:1月25日 19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     2000年決算、2001年事業計画について承認を得た。
     会長:川村 信之

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    2001年2月例会

    日 時:2月22日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509会議室
    テーマ:「中国少数民族・ハニ族の宗教と文化」
    講 師: タイ・シューホー氏
         (中国少数民族研究者、古箏演奏家、金城学院大学中国語講師)
    内 容:
     タイ・シューホーさんは、上海市の出身。江西省南昌市歌舞団で古箏のソリストとして活躍され、12年前に留学生として来日。その後、金城学院大学大学院で文化人類学を学び、中国の少数民族の1つ、ハニ族の文化や宗教について研究されている。
     中国は人口の92%を漢民族が占め、残る8%は多数の少数民族から成っている。少数民族には多くの自称(集団ごとに勝手に名乗っている民族名)があるが、1950年代の民族識別工作によって、現在の56民族に分類されている。
     中国の南西部、ベトナム、ミャンマー、ラオスと接する雲南省には、24の少数民族が住んでおり、ハニ族はその中の1つ。ハニ族は、唐代に北方から雲南へ移住、定着した。主な支系は、メコン川流域の西双版納(シーサンパンナ)地域と標高2000mの紅河流域の2箇所に分かれて住んでおり、総人口は125万人。(1990年統計)
     ハニ族は漢民族とは異なり、文字の無い独自の言語を持っていて、口承によって受け継がれ、今も村ではハニ語中心の生活を過ごしている。語順は日本語と同じ、主語・目的語・動詞の順。”ハニ”という名称の由来は定かではないが、”ハ”は勇猛な動物、”ニ”は人の意味もある言葉である。
     西双版納地域では、村の入口に「ロカン」と称する門があり、自分たちの住む神聖な地域と外界とを区切る境界と見なされている。頂上に鳥像が掲げられていることから、日本の鳥居の起源ではないかという説もある。家屋は二階建て高床式の入母屋で、屋根には千木に似た飾りが付けられている。
     死者は村隣りの山の斜面に埋葬されるが、墓参りの習慣はない。3日間の葬式の後、死者は冥界に旅立つものとされ、以後は自宅でお祭りする習慣である。元来は火葬にし亡骸は残さない習慣だったのが、漢民族の影響を受けて埋葬になった。
     墓地は族長が死んで世代交代すると新しい山に移行し、前の山は畑として使われる。この世代交代の周期(20〜30年)は、焼き畑農法の後、休耕して樹木の回復を待つ期間に丁度合うようである。
     紅河地域では、村の中心部に栗の神木があり、木の周りに白い糸が巻き付けられている。日本の注連縄に似ているとも見える。家屋は日干し煉瓦の壁に瓦葺き屋根。家の中には神棚の様なものがあり、穂のついた稲藁3本が飾られている。
     両地域に共通して、村の広場に3本の立木を組んだブランコがある。遊具ではなく、祭祀の日にのみ使われ、祭りが終われば取り外される。
     両地域の支系は、住居や風習に違いも多いが、父親の名前の最後の音を子供の名前の最初の音にする、尻取り風の名付け方(父子連名制)を遡ることによって、20〜30代前で祖先が一致していることが判明している。

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    2001年3月例会

    日 時:3月15日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509会議室
    テーマ:「デジタル革命による経済産業変革の日米比較」
    講 師:川村 信之 氏 (中部電力、NIMRA会員)
    内 容:
     今回のプレゼンでは通産省が1998年に実施した調査によって明らかになった、デジタル革命が経済産業に及ぼす変革の姿を浮き彫りにする。
     米国では個人資産の8割が株で保有されている。87年のブラックマンデー以後の不況脱却を経て米国では個人資産が上昇し、日本のそれは低下した。日本のバブル崩壊で、日本と米国の個人資産の額は逆転した。91年から98年にかけて、米国では情報化に投資を集中させた。その結果としてインターネット人口、IT産業の所得、インターネット株取引等が2〜3倍になった。85年〜96年、日本はIT産業への投資比率を変えなかったが、米国では倍以上になった。CALS (Computer Agent Logestic System) の構築により、米国ではITの市場規模が大きく拡大した。
     BtoB (Business to Business) における CALS の利点は、設計図の授受や受注発注が電子上で行えることにあるが、認証機関と決済機関が法的に整備されることによって CALS の有効性が決定的になった。その結果、米国では Electric Commerce から Electronic Community へと変革を遂げた。
     では、日本のIT化へのプランはどうなっているか? 85年から85年は情報インフラ整備(第一段階)98年からはプラットフォーム整備(第二段階)2000年からはインターネットビジネス普及(第三段階)2002年からは新社会システム構築(第四段階)と位置づけている。各段階を通して市場規模は拡大して行くが、BtoB による伸びが大きい。97年に、第二段階から第四段階にかけての具体的推進の役割分担が決められた。 役割は三つある。税制+関税+知的所有権の確立は政府が担当。暗号化+認証システム+個人情報の保護は民間が担当。責任の所在の明確化は政府と民間が共同で担当。 このようなプランで、IT化の推進が図られてきている。IT化によって、市場規模は十倍になるにも拘わらず、コストは3分の1になり、国民全てがハッピーになる。 この流れの中で、中電グループでも瑞穂区で1000戸を対象に、光ファイバーを各戸に引き込んでFTTH (Fiber to the Home) 実証実験を行っている。
     日本も上記で掲げたIT戦略基本法等の強力勝つ具体的推進で、構造的不況の克服が望まれる。

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    2001年4月例会

    日 時:4月19日(木) 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509会議室
    テーマ:「水道(今さらなんで水道?)」
    講 師:舩木 堅太郎 氏 (愛知県企業庁、NIMRA会員)
    内 容:
    「水道」は、節水か漏水事故でもない限り意識されることのない、ありふれた都市施設。しかし、そこにこそ都市の持つ普遍的な問題が潜んでいる。水道についての基礎知識と水道を取り巻く話題についてお話を伺った。

    1 基礎知識
    1−1 給水区域、給水人口、給水量
     給水区域・給水人口・計画給水量の三項目によって、水道の規模が定義される。
    1−2 水道事業・水道用水供給事業・簡易水道・専用水道・飲料水供給施設
     水道法により、主に規模と給水形態によって区分されている。
     ・水道事業:給水人口一般の需要に応じて水を供給する事業(101人以上)
     ・簡易水道事業:給水人口5000人以下
     ・専用水道:水道水を受水して101人以上に供給する(寄宿舎、社宅、療養所等)
     ・簡易専用水道:水道水を受水して10m3以上の水槽を持つ水道(マンション、病院等)
     ・水道用水供給事業:水道事業者に対して用水を供給する事業(規模が大きい)
    1−3 普及率、水道の目的
     普及率=給水人口÷区域内給水人口。日本全国で96%、愛知県では99.6%。
     水道の目的は、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする」(水道法第1条)であり、簡単に言えば、水系伝染病の激減と利便性の向上が目的と言える。
     また、クリプトスポリジウム(原虫)の例のように、一つの失敗が広範囲に影響する性質を持っている。
    1−4 水質の規定
     水質の基準項目は、原水の汚染や分析技術の向上などによって増加しており、現在は、以下の観点の下に、46の基準項目によって水質が規定されている。
    ・ 病原菌に汚染されていない。
     (硝酸性窒素・亜硝酸性窒素、塩素イオン、有機物等、一般細菌、大腸菌郡)
    ・有害物質を含まない。(シアンイオン、水銀、有機リン)
    ・銅鉄フッ素等を許容量を超えて含まない。
     (銅、鉄、マンガン、亜鉛、鉛、六価クロム、カドミウム、砒素、フッ素、カルシウム・マグネシウム、蒸発残留物、塩素イオン、フェノール類、陰イオン界面活性剤)
    ・異常な酸性アルカリ性でない。(pH)
    ・異常な臭味がない。(臭気、味)
    ・無色透明。(色度、濁度)
    ・発ガン性物質等
    (1・2ジクロロエタン、1・1ジクロロエチレン、ジクロロメタン、ジクロロメタン、シス1・2ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1・1・2トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、総THM、1・3ジクロプロペン、シマジン、チウラム、チオベンカルプ、1・1・1トリクロロエタン)
    ・快適性(快適項目)13
    マンガン、アルミニウム、残留塩素、2MIB,ジェオスミン、臭気強度、遊離炭酸、有機物等、硬度、蒸発残留物、濁度、ランゲリア指数、pH
    ・安全性の確保(監視項目)32
    給水栓水(ホルムアルデヒド、ジクロロ酢酸、トリクルロ酢酸、ジクロロアセトニトリル、抱水クロラール)
    原水(トルエン、キシレン、Pクロロベンゼン、トランス1・2ジクロロエチレン、1・2ジクロロプロパン、フタルサンジエチルヘキシル、ニッケル、アンチモン、硼素、モリブデン、イソキサチオン、ダイアジノン、MEP、(フェニトリチオン)、イソプロチオラン、クロロタロニル、プロピザミド、ジクロルボス、フェノルブカルプ、クロルニトロフェン、イプロベンホス、EPN、ウラン、亜硝酸性窒素、ブニグゾン、カルボフラン、2・4ジクロロフェノキシ酢酸、トリクロピン)

    2 水道を取り巻く話題
    2−1 水量の話題
     「雨が降らない=渇水=節水=不便な生活」という等式は必ずしも成立しないし、「ダムをつくれば渇水は起こらない」というのは幻想である。
     ダムは、河川流量が必要取水量を下回った時に貯めておいた水を放流する為のものであり、新たな水需要の発生に応じてダムは建設されている。また、水道計画の際は10年に1度程度の規模の渇水を想定している。それにも係らず渇水が発生するのは、水の使用量が予想を越えて増加している為である。今後、水需要の増加により、渇水はますますひどくなると予想される。
    2−2 料金の話題
     水道料金は、需供バランスとは無関係に、地方自治体の議会の承認を受けて改定されており、市場原理が働かない。これは水道が「生きて行くのに最低限必要」なものと位置付けられているからである。この為、水道事業の収入は、渇水になろうがならまいが、単純に供給量に比例する。また、水道事業は、最長60年償却にも及ぶ先行投資の為、予定通り需要が増加しないと事業収支が悪化するという性質も持っている。
    2−3 下水との関連
     上水道と下水道とは、切っても切れない関係にある。阪神大震災や平成12年の東海豪雨の際には、上水道は早期に復旧しても下水道が復旧しないので、結局、水道が使用できない状態が生じた。
     また、長い河川では、上流域で使用され下水から排水された水を、下流域で再び取水して上水道に利用しているケースも多い。上水道と下水道とを繋げて考えることが重要である。
    2−4 水道の可能性
     個人の水道使用量は、一日当り400リットル程度であるが、この内、飲用は2リットル程度に過ぎず、大半は、風呂・便所・洗濯・炊事など、飲用水質が不要な用途に使用されている。この為、飲用とその他とを別々に給水する「2元給水」案もあるが、配管敷設など設備面の問題もあり、検討に至っていない。
    2−5 水道の将来予測
     今後は、水質のさらなる悪化、渇水と洪水の同時発生、新たな感染症や原虫の増加が予想され、また、世界的には地球温暖化により2025年には50億人が水不足に陥ると予想されるなど、水道にとって厳しい未来が待ち受けている。

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    春の野外活動

    日 時: 2001年4月27日(金)夜〜28日(土)
    場 所: 小原村榑俣(くれたまた) ファームイン「こっこ」 (グリーロード枝下ICより20分)
     新緑の小原村、会員の建築士、柴田さん設計のファームイン「こっこ」に宿泊して、バーベキューとカヌーに興じました。

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    2001年5月例会

    日 時:5月24日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509会議室
    テーマ:「次世代環境デザインとソ−ラ−飛行船」
    講 師:藤原 歳久 氏(中部総合研究所 理事長、環境会議所 専務理事)
    内 容:
    ○次世代環境デザインについて
     次世代環境デザインとはまず次の世代の子供たちに豊かな自然を残してあげることで、これを考える上で、愛知万博のテ−マともなっている自然の叡智に学ぶことや、省エネルギ−、低環境不可などがキ−ワ−ドとなってくる。自然の叡智に学ぶ事は日本の伝統的な生活様式にもつながる。また近年情報化の中で、カオスやフラクタルといった複雑系の数理が脚光を浴びている。自然の造形原理がこのような数学原理にもとづいていることがわかってきたのであるが、これは、世界的に評価の高い非定型でアンシンメトリ−な日本の伝統的な美意識にも通じるものである。このように伝統的な日本を見直すことが次世代環境デザインに通じるのではないかと考えている。次世代環境デザインを考える「環境会議所」というNPOを設立した。
    http://skybusiness.com/aps-fuziwara/
    ○ソ−ラ−飛行船について
     2005年の愛知万博に向けて中部工大(立ち上げ時名工大)の梅野正義教授を中心として、「ソ−ラ−飛行船を飛ばす会」を作って活動してきた。これは動力にソ−ラ−バワ−と補助的に燃料電池を使うことで低環境負荷でゆったりした次世代の交通手段を提案するものである。現在国は成層圏に無人のソ−ラ−飛行船を浮かべて通信や観測を行う成層圏プラットフォ−ム構想を推進しているが、この飛行船も万博期間中に上空に浮かべて空とぶパビリオンとするほか会場管理や電波中継にも役立てる構想である。ここで使われた飛行船は鳥羽神戸間に就航する計画もある。展開構造を使うなど新たな飛行船の技術開発を行うベンチャ−ビジネスを立ち上げる予定であるが、愛知万博自体と同様に工期的に難しい問題がある。
    http://skybusiness.com/aps-fuzi/tobasukai.html

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    2001年6月例会

    日 時:6月20日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 510会議室
    テーマ:「名古屋市の中心市街地活性化計画について」
    講 師:小宅 一夫 氏(名古屋市 市民経済局 産業部 地域商業課 商店街係長)
    内 容:
     中心市街地活性化法は、地域商店街の活性化を促進する法律として、平成10年7月に施行された。建設・自治・通産の3省合同で企画され、都市機能の再構築、商業の活性化、産業業務機能の集積促進の3つを目的にしている。人口10万人前後の中小都市を対象に想定しており、名古屋市のような大都市が用いるのは異例である。
     名古屋市の中心市街地活性化基本計画は、総合計画「名古屋新世紀計画2010」の一部として、名駅から栄にかけての区域を対象に、都心機能の見直しと活性化を目指している。具体的には、市街地の整備改善に関する事業26と、商業等の活性化に関する事業14から成っているが、その大半が既存の事業計画であり、中心市街地活性化事業の一部として位置付けることによって、補助金を得易くし、各事業のスピードアップを図ろうというのが実態である。従来は省庁ごとにバラバラであった補助金を一つの窓口にまとめ上げるのが中心市街地活性化法の中身とも言える。
     こうした中心市街地活性化事業は、TMO (Town Management Organization)と呼ばれる「まちづくり機関」が主体となって推進される。TMO は、米国やカナダで始まり、本来は強い統制権限を持つ都市整備機関のことであるが、日本のTMOの実態は商工会であり、単に補助金の受け皿と各事業の調整役程度の役割しか持っていない。名古屋市においてもTMOの設立が遅れており、今後の課題の1つである。
     中心市街地活性化法は、リストラ対象の1つと言われる特殊法人である商工会議所や地方の商工会の延命策としての性格も持っているように感じられた。
    http://www.city.nagoya.jp/shinseiki/index.html
    http://www.city.nagoya.jp/05simin/koucho/kondan/0011.htm
    http://www.jcci.or.jp/machi/h0003nagoya.htm

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    2001年7月例会

    日 時:7月18日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509会議室
    テーマ:「マレーシア最新事情〜3年間のクアラルンプール駐在を終えて〜」
    講 師:土田 太郎 氏((財)名古屋観光コンベンションビューロー コンベンション部課長
                前名古屋市クアラルンプール貿易相談所長)
    内 容:
     マレーシアは、マレー半島、ボルネオ島北部、周辺の島々から成り、面積は日本の約9割。熱帯雨林気候で一年中が高温多湿だが、最高気温30〜36℃最低気温22〜27℃であり、過ごし易い。年間降水量も2500mmと日本の1.7倍あるが、その多くはスコールで、決まった時間帯に1〜2時間降り続くだけの場合が多い。
     人口は2326万人で、その約80%がマレー半島に住んでいる。58%がマレー系、24%が中国系、7%がインド系の多民族国家。マレー系はイスラム教、中国系はキリスト教・道教・仏教、インド系はヒンズー教であり、戒律の為に混血はない。公用語はマレー語だが、英語、中国語、タミール語も話されている。学校も民族別であり、中国系は勤勉で競争心が強いのに対して、マレー系は、農海産物が豊かな国に生まれ育ったからか、穏やかであまり競争心がない。
     こうした民族間の違いは、社会経済の随所に現れている。過去は民族別政党だったが、中国系に対する不満から選挙暴動が起こり、それ以降は「ブミプトラ政策」と呼ばれるマレー系優遇策がとられている。国立大学の定員や企業の求人にマレー枠が設定されており、また住宅価格にもマレー系優遇があるが、マレー系は大学進学率が10%と低く、企業の管理職は中国系が占め、マレー系は低賃金な工員となっている。
     輸出は年間約11兆円で電子・電気製品が約60%、輸入は年間約9兆円で機械・輸送機器が63%であり、電子・電気製品の加工貿易国の性格が強いが、国内総生産GDPは、第1次産業が15%、第2次産業が37%、第3次産業が52%であり、電子電気工業のGDPは必ずしも多くない。これは、電子電気工業関連の出荷額は多いものの付加価値は大きくないことを示しており、安価な労働力に支えられた加工工業経済と見ることができる。工員は慢性的に不足しており、引っ張り蛸で、活況を呈している。物価は日本の1/4〜1/5、賃金は工員で月給約2万円、大卒技術者で約9万円であり、そこそこ豊かで生き生きとしている。
     マレーシアを全体として見ると、現在は、農海産資源や原油・LNGにも恵まれて、かなりハッピーな国であるが、海外資本に依存している点と、高い人口増加率に拘わらず、食糧自給率には無関心な点で心配にも思われる。

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    2001年9月例会

    日 時:9月19日(水) 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「飛行船地球丸運航裏マニュアル(フラーと21世紀)」
    講 師:阿竹 克人 氏(阿竹空間設計研究所 所長、NIMRA会員)
    内 容:
     19世紀生まれの21世紀人フラ−の生涯と作品と思想を、時代背景等を絡めて判り易く解説頂いた。
     リチャード・バックミンスター・フラーは建築家、数学者、哲学者と記されることが多い20世紀アメリカの奇才である。最小の材料で最大の効果「ダイマキシオン」の思想のもとにドーム建築を大きく変えたフラードームが有名であるが、その他にもユニットバスの発明や、地球環境を閉鎖系としてアピールした「宇宙船地球号操縦マニュアル」でも知られる。ミシガン湖畔での自殺未遂、3度の大経営破綻を経てたどり着いたフラ−の技術至上主義的な問題解決法は今後ますます重要性を増していくと思われる。
     フラ−にヒントを得た阿竹による愛知万博への「10万分の1の地球構想」についても紹介があった。
    (文責:KA)
    フラー年表
    10万分の1の地球構想
    http://www.atake-sdl.com/
    http://www.asahinet.or.jp/~tg5k-atk/
    http://homepage1.nifty.com/atake/

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    2001年緑陰講座

    日 時:9月29日〜30日
    場 所:東濃牧場・阿木川湖畔・岩村町
    参加者:柴田、谷、舩木、三輪、安武
     今回の緑陰講座は、三輪氏に準備いただいたもので、NIMRAとしては3年ぶりでした。阿木川ダム湖畔国道257号線沿いにある地域特産物直売所に集合した5人は、東濃牧場(岐阜県営)に向かいました。見晴らしの良い所で昼食。ここの牛は、牧草で飼育されている希有なものであること、このような飼育をされているならば、肉骨粉を食わされることもないであろうから、狂牛病の怖れは無いであろうこと、飼料を含めての国産牛などと言うものは99.9%存在しないこと、など語り合っての昼食でした。因みに、東濃牧場から流れ下る川をせき止めている小沢ため池は、20年前から藍藻類のフォルミジュウムに起因するカビ臭が生じております。
     夕刻、東濃牧場を下って岩村町富田地区の農村景観日本一という展望台からの眺めを楽しみ、岩村城址を見て、阿木川湖畔の中之島公園内にあるふれあいの里にて宿泊。ふれあいの里というのは、「農村資源活用地域活性化事業」として農林省の補助を受けて造成された、集会所、炊事施設、宿泊施設等を備えた公園状の施設です。宿泊施設は、5〜6人が泊まれる厨房のある部屋が10くらい。我々は三輪氏が準備したバーベキューを大いに楽しみました。農林省は実に事業意欲の旺盛な官庁であると感心しました。大いに飲みニセンネンカイの一泊版となりました。
     翌30日は、岩村町の古い街並み(江戸時代の豪壮な商家が多く残っている)の見学をしました。岩村は実践女子学園の開設者下田歌子、丸善の創始者早矢仕有的(ハヤシライスは彼の発明)植物学者三好学など明治期の有名人の出身地であります。人口は現在5800ですが、往時は37000人を数えたとか。
     岩村町の町おこし運動は女性が主体となって行っているとのこと。なかなか味わいのあるところでした。
    (文責:KF)
    東濃牧場
    農村景観日本一の展望台
    岩村本通り伝統的建造物群保存地区
    岩村町資料館

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    2001年10月例会

    日 時:10月24日(水) 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル3階 IC NAGOYA 7番教室
    テーマ:「介護予防を通して元気な高齢者を増やす〜高齢者自立促進サ−ビス事業の展開〜」
    講 師:里村 悟 氏(INAXヘルシ−コミュニティ−「COCOKA」施設長)
    講師プロフィール:
     三重県伊勢市出身。1984年京都工芸繊維大学工芸学部卒。
     同年INAX入社、住宅設備機器のデザイン開発に従事 。
     1994年高齢者を中心とした人間工学の研究に従事。
     2000年高齢者自立促進サ−ビス「CoCoka」立上げ運営。
     ヘルシ-コミュニティCoCoka施設長として現在に至る。
    内 容:
     講師の里村さんは、人にやさしい街づくり研究会が去年、都市センタ−で発表した「やさしさ軸の提案」の調査研究活動でもリダ−シップを発揮される等、エネルギッシュに活動を展開されています。以前は、INAXの住宅設備機器のデザインをされてましたが、愛知県の街づくりアドバイザ−になったのを契機に、INAXの社内起業家募集に応募され、100名の中から1名里村氏の「CoCoKA」案が採用されたそうです。
     「CoCoKa」とは、心と体という意味とそれを癒してくれるのは「ココカ」という2つをかけているそうです。元気な高齢者を対象に(あるいは元気を失いかけている高齢者を対象に)いきいきとした生活を応援したい。そのためには、役所が不得手とするNPO等の地域プレイヤ−との連携を計っていきたいとのことであり、CoCokaのめざすもの、地域プレイヤ−(NPO、JA)との協働、これからの課題についてお話を伺いました。
    (文責:YH)

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    2001年11月例会

    日 時:11月21日 19:00〜21:00
    場 所:大名古屋ビル3階 IC NAGOYA 6番教室
    テーマ:「21世紀に美術館は生きのこれるか」
    講 師:村田 真宏 氏(愛知県美術館主任学芸員)
    内 容:
     日本では、この20年間に美術館がどんどん増えたが、美術館が地域社会に根付いていないのが現状である。これは、日本の美術館の特異性とそこから生じている美術館に対する誤解、館の努力不足といった様々な要因が絡んでいると思う。
     そもそも美術館とはどのようなところなのか。愛知県美術館は、年に1回「日展」を見に行くところだという方も多い。日展や院展などの公募展の開催は、本来の美術館活動とは異なるものである。美術館は、広い意味での博物館(ミュージアム)のひとつであり、資料(作品)を収集、保存し、展示、公開する施設であって、その資料が歴史資料であれば歴史博物館となる。また、作品を展示するだけではなく、教育普及活動や調査研究活動が美術館の活動にとっては必須のものである。
     美術館は、博物館や図書館とならんで、本来「知」の集積の場であり、「知」のアイデンティティのよりどころであるはずだが、戦前から、単なる展示場として機能してきた日本の美術館の特殊な歴史のために、美術館は社会の中で誤解された存在として現在にいたっている。
     多くの美術館では、コレクションの展示だけでは人が呼べないために、企画展を次々と開催して入場者数をかせいでいる。企画展に金と労力をつぎ込んでおり、新聞社や放送局と展覧会を共催する場合、マスコミは、人の入る展覧会でないと多くの費用を負担したがらない。このように、日本の美術館は、ミュージアムとしての活動が非常にしづらい状態での活動を強いられている。
     現在の、全国の美術館の経営危機は、その主な経営母体である自治体や企業の危機という側面だけではなく、日本の美術館の本質的な問題が顕わになったという面が多分にある。美術館と市民社会が遊離しており、地域社会のニーズとのミスマッチをおこしている。館側は意義のある活動をしているつもりなのに特定の人にしか面白くない、また、市民の望みをくみ上げる仕組みがないといった問題を現在の美術館はかかえている。
     これからの地域社会にとって美術館はどのような存在であるべきなのだろうか。地域のアイデンティティの形成、交流人口の増加、芸術文化と産業振興、市民の芸術文化活動の活発化といった様々なテーマについて、美術館は、地域社会づくりに寄与できる可能性をもっている。
     21世紀に美術館や博物館が生きのこれるかは、美術館や博物館が地域のキーになれるかどうかにかかっていると思う。
    (文責:NT)

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    2001年12月例会

    日 時:12月5日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル3階 325会議室
    内 容:情報交換市
     年末恒例、会員が持ち寄った情報を交換する情報交換市を、取り壊しが目前となった毎日ビルでの最後の例会として行いました。

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