NIMRA 2000年の研究会

  • 総会 (2000.1.20)
  • 2月例会:タイJICA研修生「最近のバンコクの都市開発事情」(2000.2.10)
  • 3月例会:川口 泰男 氏「文化のみち物語」(2000.3.15)
  • 4月例会:大江 忍 氏「シックハウスから学ぶ環境に優しい住宅造り」(2000.4.25)
  • 6月例会:森 幸一 氏「省エネと環境」(2000.6.21)
  • 7月例会:斎藤 繁 氏「環境にやさしい鋼づくり」(2000.7.27)
  • 8月例会:丸山 茂樹 氏「近頃の東南アジア事情と中国、青島、南京、上海雑感」
         阿竹 克人氏「MARAS2000参加報告」(2000.8.30)
  • 9月例会:加藤 達志 氏「万博・空港〜名古屋のまちづくり」(2000.9.29)
  • 10月例会:向井 征二 氏「広がりつつある地域通貨の現状と課題」(2000.10.31)
  • 11月例会:高林 英行 氏「名古屋駅周辺地区熱供給施設見学」(2000.11.30)
  • 12月例会:舩木 拓 氏「ニジェールでの青年海外協力活動」(2000.12.19)
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    2000年総会

    日 時:1月20日 19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     1999年決算、2000年事業計画について承認を得た。
     会長:舩木 堅太郎

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    2000年2月例会

    日 時:2月10日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509号室
    テーマ:「最近のバンコクの都市開発事情」
    講 師: Ms. Busanee Praevisavakij(タイ内務省 都市・地域計画局 都市計画官)
         Ms. Soontaree Sernsuksamrit(バンコク首都圏庁 都市計画局 都市計画官)
         Mr. Wiboon Wongkunthanakit(バンコク首都圏庁 都市計画局 都市計画官)
    内 容:
     国際協力事業団(JICA)研修生として名古屋で研修中のタイの若手都市計画官3氏から、タイ及びバンコクの都市事情について、話を伺った。
     タイにおいても、大規模な区画整理が難しい点では日本同様であり、歴史ある国に共通した土地問題が見られた。
     日本式の都市開発をタイ風にアレンジしていきたいという彼らの言葉には、エリート官僚らしい傲慢さはなく、誠実で温和な好青年らしさが印象的であった。

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    2000年3月例会

    日 時:3月15日 18:30〜20:30
    場 所:加藤邸(名古屋市東区主税町の旧家)
    テーマ:「文化のみち物語」
        一昭和初期の珠玉の建築「加藤邸」を見学しながら
         歴史と文化を生かした名古屋のまちづくりを語りあう一
    講 師:川口 泰男 氏(都市基盤整備公団中部支社専門役、NIMRA元会長)
    内 容:
     明治から昭和初期にかけての古い建築物が点在する町並み保存地区の一角、東区主税町の加藤邸を会場として、同邸宅の見学と、名古屋市の町並み保存施策「文化のみち」の担当者であった川口氏から同調査内容について話を伺った。
     名古屋城から徳川園にかけての一帯は、明治から昭和初期にかけて、時計、バイオリン、織機など当時最先端の製品が国産化され、また、輸出陶磁器の上絵付やガラス工業の中心地としても栄えた地区であり、多くの新興産業人が邸宅を構えた。
     今までは保存対象とされておらず、現存状況などほとんど把握されていなかったが、「文化のみち」調査の結果、今も当時の歴史的な建築物が多く残ることが判った。
     こうした建築物の多くは、個人所有物であり、相続税の問題などからマンションなどとして土地運用されていくケースも多い。
     加藤邸は、昭和初期に建てられた数寄屋風の隠居屋敷であり、随所に職人の技が残されているが、現在も所有者が居住する個人家屋であり、いかに活用し、保存していくかが課題となっている。

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    2000年4月例会

    日 時:4月25日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 510室
    テーマ:「シックハウスから学ぶ環境に優しい住宅造り」
    講 師:大江 忍 氏(株式会社ほるくす取締役、管理建築士)
         中部自然住宅推進ネットワーク 事務局
         環境にやさしい住まいとまちづくり推進会議 世話役
    内 容:
     『シックハウス症』『環境共生住宅』『自然住宅』について、施工例をスライド鑑賞しながら、お話を伺った。
     『シックハウス症』の原因に建材等に含まれる化学物質と住宅の高気密化が指摘されている。苦しんでいる人々の中には一家の主人だけが新築した住宅に住めなくて庭にテントを張ったり、バルコニーでの暮らしを強いられている例もある。室内空気汚染物質として『ホルムアルデヒド』は世間によく知られているが、他にトルエン、キシレン等のVOC(揮発性有機化合物)や木材保存剤、ビニールクロスに含まれる可塑剤、防蟻剤など何万種類に及ぶ。医学的定義は未だ無いが北里大学には専門病棟があり眼科の領域に置かれている。
     『健康』をうたった建材、住宅が登場しているが健康になる住宅など存在しない。自然素材だからといって安心できない。使用方法に注意が必要。
     『環境共生住宅』は省エネ、自然エネルギー活用、自然素材の利用、再生材・廃材利用により地域環境に与える負荷を最小限に抑えようとする国がすすめる施策。
     『自然住宅』とは自然素材を使った住宅ですべてが土に戻る、リサイクルできる住宅。
     地球の健康と子孫にツケを送らないためには気候・風土を知った建築家が“本物”の素材を用いて“本物”の設計を進めていく必要がある。

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    2000年6月例会

    日 時:6月21日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「省エネと環境」
    講 師:新井 妃男 氏(名古屋大学 高温エネルギー変換研究所教授、工学博士)
        森 幸一 氏(株式会社 東洋テクニカ 代表取締役、省エネコンサルタント
         財団法人 科学技術交流財団 エコジェネ研究会会員
         名古屋大学 高温エネルギー変換研究所 共同研究員)
    内 容:
    1.亜酸化窒素(N2O、通称:笑気ガス)について(新井妃男 氏)
     亜酸化窒素は、医療用の麻酔剤として全世界で広く使用されており、手術室で働く医療関係者が吸入することにより、身体への影響が懸念されている。医師や看護婦のガン・不妊・奇形出産の割合は通常の70倍高い。また、オゾン層破壊効果を持つと同時に、地球温暖化指数は二酸化炭素の300倍と大きい。新井教授らは、航空機機内用のタバコガス清浄器を元にして、病院院内用に亜酸化窒素分解装置を開発した。亜酸化窒素は、自動車排ガス、ゴミ焼却炉、農業などからも発生しており、今後、対策が必要である。
    2.省エネ機器について(森 幸一 氏)
     電気機器には、使用条件や機器の最適化により、まだまだ省エネの余地がある。森氏は、省エネ機器の設計・製作・販売に取り組む傍ら、太陽熱発電装置や水温差発電装置などの「環境にやさしい廃熱利用発電機の開発」に取り組まれている。以下の省エネ例の紹介があった。
    (1) 節電器(省電力受電装置)
     電力会社の供給規定では、101V±6Vの範囲での電圧供給が定められており、通常、100Vよりも高い電圧で供給されている場合が多い。電気機器は100V供給を想定して作られている為、電圧が高いと余分に電力を消費し、また同時に寿命が短くなる傾向がある。例えば、105Vでは電球の寿命は半分になってしまう。反対に電圧を少し下げると消費電力が減少し、同時に寿命が長くなる。例えば、95Vにすれば、電球の寿命は4倍長くなるという実験結果がある。種々の機器について調査した結果、97Vでの運用が最も経済的であることが判った。
    (2) 空調機
     フロン規制により、既存の空調機のフロン22を代替フロンH134Aに置換えた結果、コンプレッサーの能力が低下し、結果的に消費電力が増大している場合が多い。そのような場合は、コンプレッサーを追加することで、合計の消費電力を削減できる。
    (3) 蛍光灯
     従来の蛍光灯に使われている安定器は力率が50〜80%と低く、大きな電力損失を生じている。電子制御式のインバータに交換することにより改善する。日本はこの分野で遅れているが、2005年迄に交換することが義務化されている。
    (4) 電力トランス
     日本の電力トランスは損失が大きい。アモルファストランスに置換えることで、低損失化とオイルレスが実現できる。

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    2000年7月例会

    日 時:7月27日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「環境にやさしい鋼づくり」
    講 師:斎藤 繁 氏((株)新日本製鐵名古屋製鐵所製鋼工場ORP係長)
    内 容:
     斎藤氏は1924年北海道生まれ。室蘭と名古屋の製鐵所に於いて、一貫して鋼づくりに携わって来た。名古屋製鐵所は中部圏こ放ける鉄鋼製品の供給基地となっている。鉄鉱石を溶かして鋼になるまでの工程をOHPを用いて講演された。
     鉄鉱石は高炉に放いてコークスや大量の燃料ガスによって溶かされた後、ORP(最適精錬プロセス)工場に運ばれ純酸素を吹き付け炭酸カルシウム等の副原料を添加することで珪素、硫黄、燐の値を下げ、この処理された溶銑を転炉工場で更に純酸素の下、炭素、珪素、硫黄、燐を取り除き目的に適った成分(クロム、ニッケル、マンガン、モリプデン、等々)を添加する精錬を経て溶鋼となるが、溶存している酸素や窒素、水素ガスも不純物として材質に悪影響を及ぼすためRH処理(真空脱ガス)によって取り除かれ、これを連続鋳造設備で冷やされ固められ連続した形の鋼片となるが、ここ迄が銑・鋼部門である。
     ここで使用される鉄鉱石、各種副原料、石炭(コークス)、酸素、副生ガス、水、電力等資源・エネルギーは膨大であり、そこから排出される集塵ダストや排水・排ガス量も又膨大である。製鐵所に放いては品質やコスト同様、環境への負荷の軽減対策を積極的に推進しており、製鉄・製鋼部門から発生する副生ガス(主成分:一酸化炭素)の極限回収による発電事業、排水のリサイクル率の改善(現状:約90%)、物流システムの改善、集塵ダストの全量リサイクル化に向けた設備対策の推進(現在、建設中)、そして溶銑・溶鋼をつくる過程で発生するノロを全く新しい発想でリユースしようとの試みがあり、製品化に向けた精錬法を開発中とのことである。(ノロは「鋼づくりはノロづくり」と言われる程、重要な役割をする)
     メタルを回収した後のノロの向け先としては、道路建設で路盤材が一般的であったが、ノロには土壌に必要な珪素、燐、硫黄、鉄、炭素、等々が含有しており、それが土壌改良剤になり得る。
     創意工夫で限りある資源・エネルギーを大切にすることが、結果的に環境改善に繋がっている。企業の取り組みが個人レベルまで浸透し、ゴミ問題が環境負担でなくなる日が来ることを願う。

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    2000年8月例会

    日 時:8月30日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「近頃の東南アジア事情と中国、青島、南京、上海雑感」
        「MARAS2000参加報告」
    講 師:丸山 茂樹 氏(IC NAGOYA 代表取締役、NIMRA会員)
        阿竹 克人 氏(阿竹空間設計研究所所長、NIMRA会員)
    内 容:
    1.近頃の東南アジア事情と中国、青島、南京、上海雑感(丸山茂樹 氏)
     2005年に日本の人口はピークアウトすることが明確である。法務省は近い将来の労働力不足を視野に入れた第二次出入国管理基本計画を策定した。これは、従来外国人の受け入れに際して設けていた高いハードルを下げて、入って来やすくしようと言うことである。
     高度の技術者、技術者の予備軍である学生、研修生実習生と位置づけられている人々に懸けられていた規制が緩くなる。
    例えば、学生などは日本語ができなくても入国可といったように。そうなれば入国者数が増大するが、役人の数を増やさないために、受け入れる民間機関がきちんと管理すれば、緩い審査で入国を認め、きちんと管理できない民間機関には非常に厳しい審査を行うようになる。労働力不足が進行すれば、介護ビザとか農業ビザをもった外国人が入ってくることだってあり得ないことではない。
     学校関係でいうと、採算点を割り込む学生しか集められない大学はつぶれるしかないのだが、外国からの学生を迎えれば経営は成り立つ。そして、民間機関が外国人をきちんと管理するという新たな入出国管理体制下で、奨学金を与え、卒業後に働いて奨学金を返済させるという学校ビジネスが生まれる。
     さて、農業のなり手や高齢期に介護してくれる人が得難くなる将来、あなたは何を選びますか?
    2.MARAS2000参加報告(阿竹 克人 氏)
     マドリードで開かれた可動構造体学会 MaRASV(Mobile and Rapidly Assenbled Structures V)にて、阿竹構造体モデルの講演と展示を行った。
     阿竹構造体モデルとは、阿竹氏考案による4次元空間理論を用いた展開構造体の名称であり、畳んだ状態では、束ねた割り箸を蝶番で繋げたような形状だが、両端を引っ張って広げると、イス、テント、ドームなどになる、非常にコンパクトな構造体である。似たような構造体の研究者としては、アメリカのチャックホ−バ−マン氏が有名である。学会にはもう一方の雄であるフェリクス エスクリグ氏の招きにより参加した。
     用途としては、おもちゃの他、宇宙での構造物として利用するアイデアもある。三菱総研がベンチャービジネス育成の一環で阿竹構造体の用途研究を支援していた。

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    2000年9月例会

    日 時:9月29日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「万博・空港〜名古屋のまちづくり」
    講 師:加藤 達志 氏((株)都市研究所スペーシア 主任研究員)
        村井 亮治 氏((株)都市研究所スペーシア 主任研究員)
    内 容:
    (株)都市研究所スペーシアは、「知的地場産業」および「空間芸術産業」をモットーとしたまちづくりコンサルタントであり、各種まちづくりに関する調査や企画を受託している。愛知万博関連では万博への市民参加意向調査を瀬戸市から、新住事業に係るまちづくり調査を愛知県から、また、中部国際空港関連では、空港新設に伴う住宅需要調査を都市基盤整備公団から委託され、調査を実施している。 1.万博とまちづくり(加藤氏)
     ハノーバー万博を視察した印象は、外観は個性的なパピリオンが多かったものの、展示物は21世紀を予感させる先進性に乏しく、全体としてアミューズメント性に欠けるように感じた。入場数も当初は伸び悩み、車の利用制限や駐車料金を見直して、ようやく10万人になった。環境をテーマにしてインパクトある博覧会は難しそうだ。アメリカが不参加なのも、興行的な採算性が乏しいからではないかと思われる。(入場者に対してのみらず、出展する各国や企業にとっても魅力が必要!!)万博を取り巻く環境は大きく変化して来ており、21世紀最初となる愛知万博は、万博自身の存在意義を問われる万博になるだろう。
     愛知万博については、都心回帰・再生の世界的な流れがある中で、郊外への投資の有効性が疑問であり、会場周辺の長期的なまちづくり計画を描く必要があると考える。会場計画では、何か目玉となるような展示や建物が切望され、高低差の多い地形を上手く活用して、如何に面白い会場造りができるかがポイントに思う。また、ソフト面では、長野オリンピックや沖縄サミットで見られたような市民参加の動きを、どれだけ創り出せるかがポイントと考える。

    2.空港とまちづくり(加藤氏)
     関西国際空港は約18,000人の従業者を抱え、開港後、周辺市町村で人口増加が進んでいる。中部国際空港も従業者約13,000人の雇用創出に伴い、常滑・半田・知多市で人口増加が予想される。関空を例にして算出すると、約3,900戸の転入があり、20歳代が約半数を占め、77%は単身で、持家率は14%程度と予想される。空港を軸にしたまちづくりを検討する上で考慮すべき点である。
    3.大須再開発(村井氏)
     万松寺通東口北側にテナントビルが新築される。16人の地権者でつくる民間組合による名古屋市初の市街地再開発事業。地下1階と地上1〜4階は店舗、4〜12階は住宅と駐車場。1階には従来の店舗を残すがその他はテナントを募集し、目玉として3〜4階に中国から中華料理店街を招致している。事業資金を新規入居者で賄う為に入居者が不可欠であるものの、外来者の増加を懸念する声もあり、如何に大須らしさを保ちつつ商店街を活性化するかが、当事者達の悩みである。

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    2000年10月例会

    日 時:10月31日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「広がりつつある地域通貨の現状と課題」
    講 師:向井 征二 氏(オービス環境マネジメント研究所代表、NIMRA会員、
        環境市民東海・代表幹事)
    内 容:
     今、日本でも世界でもLETS(地域交換システム)や地域通貨が注目され、実践が始まりりつつある。環境市民東海でも活動の一環「LETS東海研究会」で、今年2月から有志10名ほどでLETSや地域通貨をイロハから勉強して来ており、来春の試行に向けて本格的な準備活動に入っている。現在25名程度の参加者がいる。交換の際の価値判断に用いるポイントの名称は、あの優雅な名古屋弁「なーも(略してN)」に決定した。すでに実際に使用され始めているこの「なーも」を使って何を目指そうとしているのか、世界のLETSの歴史と現状、日本の最近の動きを交えて紹介した。
     LETSと似た発想はすでに戦前から世界中にあった。70年前に「自由貨幣」を提唱したドイツ人経済学者(後にアルゼンチンに移住)の思想に基づいて大恐慌時代の米国などでは「スタンプ代用貨幣」が実験された。これらの自由貨幣は戦争激化とともにほとんどが姿を消したが、オーストリアのヴェルグル、スイスのヴィア経済リングなどは1930年代に創設され今日に至っている。
     経済不況下のカナダ・バンクーバー島にある人口5万人の町コモックスバレーで1983年、マイケル・リントンが創設した地域交換システム(Local Exchange Trading System=略称LETS)が、今日世界中で実践されている現代的な交換システムの原点である。この方式は英語圏を中心に瞬く間に世界に広がった。現在、世界中に2000以上のシステムが活動している。世界最大の規模のLETSは、1995年に創設され、25万人以上が参加しているアルゼンチンのRGTである。日本では、日本型助け合い運動ともいうべき福祉型時間預託制度(日本中で数百例)を別にすると、現代型のLETSはこの数年で30例以上が創設されている。運営母体も、行政主導型、NPO主導型、商店街主導型などさまざまである。
     この交換システムは、登録した参加者が交換情報を共有して個別に取引する「交換リング」、通帳などを媒介する「大福帖方式」、擬似通貨により取引を行なう「地域通貨」、奉仕した時間を通帳に記録して後日引き出す「時間預託制度」など無数のバリエーションがある。明確な定義はないが、LETSはこれらの方式の総称ともいうべき概念である。なお、地域通貨=エコマネーと誤記する新聞記事があるが、エコマネーは特定のグループの商標登録されたブランドであり、一般名称ではないので、注意が必要である。
     地域通貨型経済と貨幣経済との最大の違いは、地域通貨はあくまでモノやサービスの交換手段であって、「利子」がつかない。それどころか、保有していると減価していく仕組みのところさえある(マイナス利子という)。これは使用と交換を促すためである。
     LETSの目指すところは地域のひとたちの間の交流活性化、町おこし、ボランティア精神の涵養、おかねだけがすべての価値観の源泉でない自由で平等な社会づくりなど、設立趣旨により実に多様であるが、殺伐とした日本社会をぬくもりのある社会に変革し、真にゆたかなくらしを実現していくための有力な社会システムとして特に日本に必要ではないかと考えている。
     例会では、LETS東海研究会の藤井氏の手ほどきで「なーも」の体験実習も行い、LETSについての理解を深めることができた。

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    2000年11月例会

    日 時:11月30日 19:00〜21:00
    場 所:名古屋熱供給(株)
    テーマ:「名古屋駅周辺地区熱供給施設見学」
    講 師:高林 英行 氏(名古屋熱供給(株)、NIMRA会員)
        増田 信之 氏(東邦ガス(株)、NIMRA会員)
    内 容:
     JR名古屋駅に隣接するJRセントラルタワーズビルに電力と冷熱を供給している名古屋熱供給(株)の熱供給施設を見学し、施設の内容と運用状況についてお話を伺った。
     名古屋熱供給(株)は、JRセントラルビル(株)、中部電力(株)、東邦ガス(株)の出資により、平成6年に設立された。JRセントラルタワーズの地下2階及び地下3階に熱源プラントを設置し、JRセントラルタワーズ、名古屋ターミナルビル、地下鉄1号線の3つの需要家に熱供給を行なっている。
     このプラントは、中部電力(株)、東邦ガス(株)が参画しており、都市ガスを熱源とした蒸気ボイラ、吸収式冷凍機、電力を動力源としたターボ冷凍機、氷蓄熱といったベストミックス)により、暖房、給湯用の蒸気、冷房用の冷水を製造している。また、1500kwのガスタービンコージェネレーションを3台設置し、ビルの電力を賄うとともに排熱の有功利用も行なっている。氷蓄熱はプラスチックのボール内の水を凍らせるSTL方式により、地下スラブ下の未利用スペースを有効利用し設置されている。
     オペレーションは、地下2階の中央監視室で常時2名の運転員により24時間稼動を行なっている。当日は、11月末の夜8時にもかかわらず10GJ/hもの冷水需要(8畳間約1000室分の冷房需要)がありこの熱供給の規模の大きさを実感させられた。
     熱供給のような設備投資が大きな事業では需要予測が最も難しく、これを誤ると需要家に迷惑をかけたり、過大設備を抱え経営が苦しくなったりするとのこと。昨年12月の供給開始からまだ丸1年であるが、当初予想の2倍近い熱使用量となっている。将来用の冷凍機を先行設置してあったため、無事供給できているが、この需要がオープン初年度のためなのか、あるいは今後も継続するのか、今後の需要予測が課題とのことであった。

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    2000年12月例会

    日 時:12月19日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル5階 509室
    テーマ:「ニジェールでの青年海外協力活動」
    講 師:舩木 拓 氏(前・青年海外協力隊員)
    内 容:
     西アフリカのニジェール共和国で青年海外協力隊員としての2年3ケ月間の活動内容について、お話を伺った。
     果樹栽培の専門家として村に入り、Kotounbou村で苗木生産組合を組織した。初年度はマンゴーの接ぎ木苗を2500本生産販売し、100万セーファフランの売り上げがあった。(セーファフラン FCFA は旧フランス領諸国で共通して通用する通貨。100FCFA=1F=15円程度)これは、農民の平均的な現金収入の4〜5年分に相当する。生産組合は、講師の帰国後も現地の農民たちによって継続され、今年はマンゴー4000本、柑橘類2000本の苗木を生産し、国内ナンバー1を目指す予定である。
     Bongou村では小学生と一緒にマンゴーの苗木を作った。2001年7月頃には苗木として成長し、子供たちに配られて、子供達の家に植えられるだろう。果実が実る5年後が楽しみだ。
     ニジェールで最も心に残ったものは、真っ赤な太陽が水平線に沈んでいく夕焼け。神様は、最も美しい国に最もきれいな夕焼けをプレゼントしたのだと思う。

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