NIMRA 1998年の研究会

  • 総会 (1998.1.21)
  • 2月例会:森 鋭一 氏「中部国際空港の今と将来展望」(1998.2.19)
  • 3月例会:北野 康 氏「地球環境問題、特に地球温暖化問題の国際的動向」(1998.3.24)
  • 4月例会:杉浦 義次郎 氏「海外製鉄所技術協力の体験談とトルマリンの効用」(1998.4.20)
  • 5月例会:向井 征二 氏「環境ISOとEMASをめぐって 〜国際規格の効用と限界〜」(1998.5.18)
  • 6月例会:キャサリン ルイス 氏「どうか忘れないで日本の小学校の長所を」(1998.6.25)
  • 7月例会:林 清隆 氏「世銀コンサルタントが語るマドラスの都市再開発計画」(1998.7.29)
  • 9月例会:畠山 順嘉 氏「『人に優しい街づくり』連続講座の体験談」(1998.9.30)
  • 12月例会:増田 信之 氏「名駅南地域冷暖房プラント見学会およぴ情報交換市」(1998.12.16)
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    1998年総会

    日 時:1月21日 19:00〜21:00
    場 所:リビエール(栄)
    内 容:
     1997年決算、1998年人事・予算・事業計画について承認を得た。
     会長:舩木 堅太郎

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    1998年2月例会

    日 時:2月19日 19:00〜21:00
    場 所:栄ガスビル 12階 東邦ガス会議室
    テーマ:「中部国際空港の今と将来展望」
    講 師:森 鋭一 氏(愛知県企画部航空対策局 主査, 元NIMRA会員)
    内 容:
     愛知万博の開催決定に続いて、着工予算が政府予算として認められた中部国際空港について、想定需要、空港の形状、位置、規模などの空港計画案、事業主体、将来展望などについて説明頂いた。以下に要点を記す。
    1)関空第2期期工事と重なり土運船の取り合いになる。
    2)万博に間に合わせるには、突貫工事になる。
    3)MPA(メジャープロジェクトアレンジメント)の対象第1号で基本設計など外国企業に開放されている。倉庫的でも良いから、お値うちで使いやすい空巷にしたい。
    4)現在の空港の跡地利用は色々接討されて行くが、具体的には8年後なので、じっくり考える事が出来るでしょう。
    (文責:SM)

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    1998年3月例会

    日 時:3月24日 18:30〜21:00
    場 所:栄ガスビル 12階 東邦ガス会議室
    テーマ:「地球環境環境問題、特に地球温暖化問題の国際的動向」
    講 師:北野 康 氏(社団法人環境創造研究センター理事長)
        (名古屋大学名誉教授、椙山女学園大学名誉教授、理学博士)
    内 容:
     地球温暖化について、科学的に正しいとされる知識を中心に、地球の生いたち、地球の水系、生命の進化など、多岐に渡ってお話しいただきました。
     現在大気中のニ酸化炭素は365ppm 0.0365%であるが、産業革命以前は280ppmであり、これを21世紀末には550ppmに安定化させようとしている。その場合でも、平均気温は2度、海面は50センチ上昇する。平均で2度上昇というのは大変な気候変動である。極地方の気温は10度上昇する。大陸氷河やグリンランドの氷は溶けるが、南極の氷は溶けない。日本国内では、米は西日本では減産、東北以北で増産になる。生態系がダメージを受ける。
     ニ酸化炭素排出量は、世界人口の呼吸だけで年間20億トンに達する。全排出量が230億トンなので、人口が倍になればそれだけで10パーセント削減をふいにする。人間一人当りの呼吸が70才まで生きたとして20トン。体重で固定するのはせいぜい数キロ。
     産業革命以前は15億人なので、ニ酸化炭素問題は人口問題と直結している。のみならず酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の喪失等、地球環境問題はすべて密接に繋がっているということでした。
     最近、ゼロエミッションといってゴミを出さないシステムを言い始めたが、国内の産廃はせいぜい年間4億トンであるのに対して、二酸化炭素は10億トンも出ている。これもゼロエミッションにいれて欲しい。川の水、太陽の光など、あたりまえの自然の恵に誰も金を払わないけれど、お金を出してそれらを買おうとしたらとても高くつく。多少の不便を我慢してでも守っていくのは当然のことではないか。
    (文責:KA)

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    1998年4月例会

    日 時:4月20日 19:00〜21:00
    場 所:グリーンフェロー 5階セミナールーム(黒川)
    テーマ:「海外製鉄所技術協力の体験談とトルマリンの効用」
    講 師:杉浦 義次郎 氏(名古屋国際研修センター テクニカルアドバイザー)
    内 容:
     昨年2月の例会で紹介された都市型環境共生ビル「グリーンフェロー」のオーナーである牧村氏の御好意により、グリーンフェローでの初めての例会となりました。例会に先立って実際にグリーンフェローを見学したところ、太陽エネルギーを最大限利用したソーラーシステムや太陽光温水装置、屋上の芝生やベランダに設けられた植え込みなど、まさしく都市で見事にエコロジーを実践されており、都市環境問題を考えるのに相応しい場所でした。
     講演内容としては、杉浦氏が勤務されていた製鉄会社(新日鉄・名古屋)でブラジルやベネゼエラに海外技術協力に赴いた体験談と、この時に運命的に出会った不思議な石「トルマリン」について伺いました。
     海外技術協力については、特に国民性の違いによる意識のズレなど、現地担当者が直面した困難性を紹介して頂きました。
     トルマリンはオパールと並んで10月の誕生石として知られているが、天然の石にあって電気を出す唯一のもので、その効用は細胞活性や、自立神経の調節、また土壌の改良など健康や環境の改善に役立ち、今後その知名度は増し、用途は大きく広がるであろうとも言われています。素材そのものや布に繊り込まれたものを手にしながら、何故マイナス電子を放出するのか?等、専門的な質問も飛び出し、まだ信じられないと言った雰囲気でも
    ありました。何れにしても人類が豊かになるために造り出されたものが、徐々に地球環境を、そして人体を蝕んでゆく不安の中にあって、少しでもこれを改善する効果のあるものに出会えた事で、一服の清涼剤となった事は確かでした。
    (文責:SO、HM)

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    1998年5月例会

    日 時:5月18日 19:00〜21:00
    場 所:愛知県中小企業センター 8階会議室
    テーマ:「環境ISOとEMASをめぐって 〜国際規格の効用と限界〜」
    講 師:向井 征ニ 氏(環境マネジメント研究所代表、EMSコンサルタント、NIMRA会員)
    内 容:
     久しぶりにNIMRA内部の講師として、いま全世界でブームになっているISOの環境マネジメント規格の概要と限界を専門コンサルタントの向井氏にお話頂きました。
     4月末で日本の環境ISO(ISO14001規格)取得件数は924件と、全世界のシェアの20%以上を占めるまでに過熱気味になっている現状の紹介と、その背景、環境ISOの骨格とその問題点、EMAS(欧州共通の環境マネジメント・環境監査規則)との相違点などを、鼻富な実例を交えながら伺いました。
     向井氏は環境TSOが国際発効する1996年より前に英国でEMS(環境マネジメントシステム)構築支援の専門コンサルタントのコースを履修され、中小規模の非製造業に的を絞って、全国各地の企業のEMS構築を支援する傍ら、専門誌連載や講演活動に多忙な日々を送っておられます。
     環境ISOは、環境をよくすることが直接の目的で国際的に決められたものとばかり思っていた参加者は、それは直接の目的にしていないこと、認証を取得することが「環境優良企業」の証明でも何でもないこと、環境目標を企業が立てるのに、現状の環境調査は必ずしも要求されていないこと、環境改善の結果を報告書で公表する義務もないこと、などの意外な事実を知り、いささか「あ然」としたことでした。なるほど、環境ISO取得企業のT社が土壌汚染を引き起こしても、世間に真相を開示する義務はなく、ISO認証を返上する義理もないことなどが、ようやくわかった次第です。
     ヨーロッパのEMAS(Eco-Management and sudit scheme)の存在を初めて聞く人も多く、ISO競格との違いなどがよくわかりました。
    (文責:SM)

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    1998年6月例会

    日 時:6月25日 19:00〜21:00
    場 所:愛知県中小企業センター 7階会議室
    テーマ:「どうか忘れないで、日本の小学校の長所を」
    講 師:キャサリン・C・ルイス 氏(米国NGO 発達研究所 研究部 部長)
        (Director of Formative Research, Developmental Studies Center)
    内 容:
     環境問題で規制や目標値の達成、また今の日本社会の環境への取組みを考えるとき、個々人の意識や価値観がよく問題となります。そして日本の学校教育を疑問視して、将来に不安を抱く方は多いことでしょう。今回の講師は日本の幼児・初等教育を称賛して止まない、まるで明治時代のフェノロサを思い起こさせる方です。高校生の時に“AFS留学生”としての来日経験を持ち、流暢な日本語でお話いただけます。J・デューイは「学校は、次世代の時代に自分たちが暮らしたいような社会の縮図でなければならない」と言っています。さてさて、日本は環境優良国になれるのでしょうか。今月の例会回は、発達研究所(子供達の倫理感、社会性、知的発達の向上に関する教育関係の研究やプログラムを制作する非営利団体:米国・オークランド)に在籍され、日本の初等教育研究のための来日歴19年目になるキヤサリン・C・ルイス氏にお話頂きました。
     日本の初等教育の長所は、人間関係と学力とがバランスをとって教育されている点である。競争のみをさせるのではなく、思いやりの教育がいたるところでなされている。責任ある行動を児童に促すのに教師は賞罰を与えるのではなく、児童の自発的な学級運営から『反省』を奨励している。日本の教師が大変辛抱強く『待つ』ことに対して、その効果を語られました。
     質疑応答形式に入ってからは出席された方々も親の立場に帰り、今の教育現場の問題点を切実に語って、ルイス氏の意見を求められました。日本の教育でおろそかにされている『多用性の尊重』は国際性をサポートする教育、個性を伸ばす教育につながり、日米の違いをわかりやすく例え話をされました.「アメリカの教師は下足入れに靴をいれなさいとは言うが入れ方までに干渉しない。子供達が出し入れに支障がなければ前後バラバラだったりしても何も言わない。」
     折からワールドカップの新聞記事で「サッカーは、その国の国民性や文化を映し出す鏡とも言う。日本代表の戦いぶりに今の日本そのものの姿を重ね合わせた。与えられた課題は勤勉さと組織の和によって忠実にこなすが、個人の独創性を重んじず『正解』のない問題に弱いがゆえに『世界の壁』にぶつかっている日本。」と言っている。大枠ルールの下で子供の自主性に任せるアメリカと普段何気なく過ごしている社会に存在する『型』にはめてしまう日本との違いがあるようです。
    (文責:TS)

    講師略歴
     ハーバード大学人文学部人間社会学科卒業
     スタンフォード大学発達心理学博士号修得
     1981年より カリフォルニア州立大学サンフランシィスコ校にて
     小児科/精神科 準教授/心理学研究者を兼任
     1987年より 発達研究所 研究開発部長を経て、1990年より現職

    受 賞
     Educating Hearts and Minds awarded outstanding academic book of 1995, American Library Association

    著 書
    - Educating Hearts and Minds: Reflections on Japanese Preschool and Elementary Education New York; Cambrige University Press, 1995.
    -“Fostering Social and Intellectual Development: The foundation for Japan's educational success.”In T.Rohlen and G.Tendre(Eds.).Teaching and Learning in Japan. New York: Cambrige University Press,106-128,1995.
    -“The Roots of Japanese Educational Achievement: Helping children develop bonds to school.”Educational Policy,9,(June)129-151,1995.

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    1998年7月例会

    日 時:7月29日 19:00〜21:00
    場 所:グリーンフェロー 5階セミナールーム(黒川)
    テーマ:「世銀コンサルタントが語るマドラスの都市再開発計画」
    講 師:林 清隆 氏(国際都市政策研究所 代表、NIMRA会員)
    内 容:
    インドの概略:
     人口は9.3億人(この30年間で4億人から9.3億人に増加)。インドは民主主義国家、個人主義が強く階層が分かれている。インドは多言語国家:大きく分けると18種類、細かく分けると3000種。旧英国領インドでは人ロ12億(ロシアを除く先進国の人口は12億)。労賃は1人3ドル。インド人は自己主張が強い。インドを訪れた人は、二度と行きたくないと何度でも行きたいの二種類に分かれる。2億人がスラムに住んでいる。

    マドラスの都市再開発の概要:
     マドラス大都市圏は人口700万人(うち市内の人口は400万人)。世銀の融資を受けて、土地区画整理組合方式で再開発を行おうとしている。担当する役所は、マドラス大都市圏開発庁で、この役所は計画を立てるのみで、実施は別の機関が行う。現在インドでは土地区画整理法の相当する法律はなく、法整備を行わなければならない。対象地区は、スブロールが治まりそうなところで、対象面積は25。約600人の地主がいるが、再開発には概ね協力的である。対象地区の地主は豊かなサラリーマン層。土地の権利関係は、日本と同種にはっきりしている。減歩率は保留地17%、公共用地13%の合わせて30%で計画している.インドでは土地の保有面積に制限があり、実際は名義貸しが行われていて、これが問題になる。固定資産税は明確になっている。

    日本のODAの問題点:
     日本が行っている国際的な開発援助はJICAによるニ国間援助と、OECFを通じて行う援助がある.IMF(世銀)の行う開発援助との違いは、開発のための調査のやり方にある。JICAで研修や技術指導のために対象国に派遣されるのは30代の人で、海外経験のないケースが多く、2年の任期では現地に慣れた頃に日本に帰って来てしまうことになる。そして事業採択の権限は東京でコントロールされており、日本国内の省庁の縄張り争い等がからんで、現地の実情に合わないケースも多々あるといわれている。IMFは専門の調査員が現地に出向していて、専門的な調査を行う事、援助を受ける側も必ず融資額を返済しなければならないという義務がある。
    (文責:KH)

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    1998年9月例会

    日 時:9月30日 19:00〜21:00
    場 所:毎日ビル 5階 会議室 (名駅)
    テーマ:「『人に優しい街づくり』連続講座の体験談」
    講 師: 畠山 順嘉 氏(畠山都市建築事務所主宰、NIMRA会員)
    内 容:
     NIMRAの調査研究部会は、環境、情報、高齢化の3部会ありますが、高齢化社会に対しての提言として、講師の参加する『人に優しい街づくり』連続講座 平成10年Dグループが纏めた報告書『地域で暮らし続ける為に、高齢者の住まい方の選択』の内容を中心として、生々しい体験談も交えて、紹介されました。
     質疑応答の中で、老後の居住環境について参加者にアンケートしたところ、以下の結果でした。
    ・将来も今の街に住み続けたいか --- YES 6人:NO 2人
    ・友人など親しい人と共同生活を考えるか --- YES 6人:NO 2人
    (文責:YH)

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    1998年緑蔭講座

     10月17日(土)-18日(日)に兵庫県出石町を訪問する予定で計画していましたが、生憎の台風の為、中止となりました。

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    1998年12月例会

    日 時:12月16日 19:00〜22:00
    場 所:名駅南地域エネルギーセンター (名駅南)
    テーマ:「名駅南地域冷暖房プラント見学会およぴ情報交換市」
    講 師: 増田 信之 氏(東邦ガス(株)技術部プラント技術グループ、NIMRA会員)
    内 容:
     本年11月20日に完成したばかりの名駅南地域冷暖房施設の見学会と年末恒例の情報交換市を開催いたしました。
     前半のプラントの見学会では、中部地区最大規模のプラントを見学しました。この地域冷暖房は、冷房用の冷水、暖房・給湯用の蒸気を製造し、北は名鉄百貨店から南は日生笹鳥ピルまでの区域の建物5棟に供給しています。特に、将来を睨んで3,000kw(1,500kwX2台)のガスタービンコージェネレーションを導入し、省エネルギー化されたプラントであることが特徴であり、質疑応答でもコージェネの省エネルギー性に関する質問が飛び交いました。
     後半は情報交換市となり、プラント見学会の余韻を残しながら、缶ビールを片手に参加者一同、今年一年を振り返って思い出話に花が咲き、気が付いたら22時を過ぎていました。

    名駅南地域冷暖房プラント:
     このプラントは、冷房用の冷水、暖房・給湯用の蒸気を製造し、北は名鉄百貨店から南は日生笹島ビルまでの区域の建物5棟に供給しています。主な設備は、蒸気ボイラー(49.2t/h)、蒸気吸収冷凍機(7,300RT)、電動ターボ冷凍機(1,200RT)、ガスタービンコジェネレーション(3,000kw、10t/h)とからなっています。ここの地域冷暖房の特徴として、
    1) 中部地区では最大規模のプラントである
    2) 熱供給先が全て既設の建物である
    3) 道路上にプラントビルが建設されている
    4) 3,000kw(1,500kw×2台)のガスタービンコージェネの導入により、非常に省エネルギー化されたプラントである
    5) 全国に先駆け、ガスタービンコージェネレーションによる非常用発電との兼用を認められた
    ことが挙げられ、特に3)と4)は今後の地冷に大きな影響を与えるものです。

    道路上にプラントビルが建設されている:
     従来、地域冷暖房を計画する場合、どうしてもプラントをどこに設置するかが非常に大きな問題でした。つまり、どこのビルでも、他人様のビルの機械室を自分のビルには持ちたくないのです。そのため、開発計画はあってもプラント候補地がなかなか決まりませんでした。しかし、このたびのように道路上にプラントを作ることができれば、このようなプラント候補地が無い場合でも、地冷が実現できるようになる訳です(ただし、建設費はかなり高くなります)。 今回のように道路上にプラントを建てたケースは全国で初めてのケースであり、今後の地冷計画に大きな影響を与えると予想できます。

    ガスタービンコージェネの導入:
     コージェネレーションは、電力、熱を使い切ることができれば、総合効率約70%を達成できる非常に省エネルギーな設備であります。ただし、その効率を達成するためには、設備を50%以上の負荷率で稼働し、かつ、そこから出てきた電力と熱を使い切る必要があります。今回の計画で、3,000kwの最大電力に対して、3,000kwのコージェネを1台持った場合、夏期の昼間は1,500kw(3,000kwの50%)以上の負荷があり、総合効率70%の運転が達成できます。ただし、中間期、冬期は、1,500kw以下となり、効率が悪くなってしまいます。それでは、500kwのものを6台持った場合はどうなるでしょうか。冬期、中間期の昼間は総合効率70%運転が可能となります。ただし、これでは、イニシャルコスト、スペースがかかりすぎます。そこで、今回の計画では、スペース的に2台が限界であったため、2台の設置で全熱供給量の30%以上をコージェネレーションの排熱で賄うように容量を選定いたしました。その結果、1,500kw×2台の容量が決まりました。一般的には、コージェネの容量を決定するためには、コスト計算をして決定します。しかし、今回はコストではなく、省エネルギーを目的に選定しております。
     このように大型のコージェネを設置した場合、効率の良い条件で運転しようとすれば、コージェネの稼働率(トータル運転時間)は短くなります。しかし、これはエネルギー効率が発揮できないわけではなく、単にコージェネの運転時間が短くなるだけです。ただし、今回のように大型のコジェネの場合は、運転時間が短くても発電量、排熱回収量は十分に大きくなります。では、どのようなデメリットがあるかというと、せっかく入れた高価な設備の稼働率が低くなるため、投資に対する回収性が悪くなるわけです。一般的にはコージェネを導入する目的は、経済性が最優先されますので、今回のような省エネルギーを目的とした導入はいたしません。今回このような思い切ったことができたのも国からの補助金がもらえたからです。このような制度が充実すれば、今後経済性でボツとなっていた省エネルギー設備の導入もますます促進されると思います。
     需要家の負荷変動については、今回、熱を供給する地区は名鉄系の商業施設が中心となっております。したがいまして、熱の使用時間帯もほぼこれらの施設の営業時間に一致してきております。これは、名古屋地区の大型百貨店にほぼ共通的な負荷パターンです。大規模商業施設は、一般的に非常に冷房過大であり、真冬でも冷房をする場合があります。また、住宅やオフィスは当然これらの負荷パターンとは異なったものとなります。
    (文責:NM)

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